【入門】日本仏教の名僧・名著~聖徳太子編
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
聖徳太子の十七条憲法「和を以て貴つとしと為」の真の意味
【入門】日本仏教の名僧・名著~聖徳太子編(2)十七条憲法と「和」
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
聖徳太子といえば十七条憲法。第一条の「和を以て貴つとしと為」は、その後の日本人の精神性を方向付けたといっても過言ではない。その「和」という概念はどこからやってきたのか。われわれが現在考える「忖度」や「空気を読む」ことによる波風の立たなさとは根本的に違う点を解説いただく。(全2話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分59秒
収録日:2020年8月20日
追加日:2020年12月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●「和を以て貴つとしと為」の「和」はどこから来たのか


―― では、さっそく聖徳太子の文章を見ていきたいと思います。まずは言及いただいた十七条憲法の第一条です。

「一に曰く、和を以て貴つとしと為(す)。忤(さか)ふること無きを宗(むね)と為(す)。人皆党(たむら)有り、亦(また)達(さと)る者少なし。是を以ちて、或いは君父に順(したが)はず。乍(ある)いは隣里に違へり。然るに上和(やわ)らぎ下睦(むつ)びて、事を論(あげつ)らふことに諧(かな)ふときは、則ち事理(じり)自(おの)ずからに通ふ。何(いずれ)の事か成らざらん。」

 有名な「和を以て貴つとしと為」が一番最初に出てきますが、この第一条はどういう意味のある文章でございましょうか。

頼住 はい。まずは「和」ということを強く打ち出している文章だと思います。この「和」が、どこを典拠としているのかについては、いろいろな説があります。

 例えば儒教からだという説では、『論語』の中に出てくる「礼之用和為貴(礼の用は和を貴しと為す)」という言葉が引かれます。「和を以て貴つとしと為」というところが重なっているので、儒教がもとだといわれているのです。

 もちろんそれは間違いということではないと思いますし、影響力はあったと思いますが、気をつけなければいけないのは、「礼の用は」と最初に付いているところです。

―― この「礼」というのは、よく儒教でいう、あのお礼の礼ですね。

頼住 そうですね。「礼」というのは秩序ということです。秩序を保っていくときには、「和」も重視しないと、秩序でがんじがらめにするだけでは何ごともうまくいきません、という意味になってくるわけです。

 『論語』では「礼」が一番中心にあって、「礼」をどうやって貫いていくのかというときに「和」も大事にしましょう、という話です。この文脈では、「和」は副次的なものだと思うのです。

 「十七条憲法」の中では、「礼」について言及している条文が別にございますので、それに対する副次的なものを最初に持ってくるのは、少し変な感じがします。


●理想の「和」は、忖度からは生まれない


頼住 もちろん儒教の影響は強いと思いますし、「礼の用は和を貴しと為す」の言葉も十分意識されていると思いますが、ここではやはり仏教の「和合僧(わごうそう)」ということも考える必要がある...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
ムハンマドを知る(1)その役割と人物像
ムハンマドは神の啓示を受けた預言者で共同体の最高指導者
山内昌之
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
為末大
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ

人気の講義ランキングTOP10
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編(2)『唯信鈔文意』と方便法身
阿弥陀仏は無限の光だ…親鸞の『唯信鈔文意』の教えとは?
賴住光子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(4)「適用拡大」で貧困老人をなくす
日本の転勤はおかしい…非人間的な制度の最たるものだ
出口治明
変化する日本株式市場とPEファンド(1)近年急増するPE投資
プライベート・エクイティ・ファンドとは何か…その手法は?
百瀬裕規