●今、聖徳太子の「十七条憲法」を考える意味
―― 皆さま、こんにちは。本日は頼住光子先生に、聖徳太子の十七条憲法について講義をいただきたいと思っています。頼住先生、どうぞよろしくお願いいたします。
賴住 よろしくお願いいたします。
―― 先生には以前、私どもテンミニッツTVで「日本仏教の名僧・名著」という講義シリーズをお話しいただいて、そこでも聖徳太子についてお話をいただきました。その折りに非常に印象深かったのが、聖徳太子といえば一番有名なのが十七条憲法の「和を以て貴つとしと為(す)」であるというところです。
この「和」は、通常の通俗的解釈では「とにかく、まとまれ」「仲良くすればいいですよ」ということですが、そうではなく「議論を重視していた」と先生は強調されていました。そのあたりも含めて、ぜひ現代的意義、なぜ今日本人として十七条憲法について考える必要があるのかということを、まずお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
賴住 そうですね。十七条憲法というのは、日本の道徳、倫理の歴史を考える上で一つの重要な出発点となる著作だと考えています。内容的にも今おっしゃっていただいたように、「和というのを、議論をした上で生み出していく共同性である」と捉えているところは、現代においても非常に重要であると考えています。
日本人はとかく和というと「忖度する」とか「空気を読む」というイメージで考えがちですが、もともとはそうではなかったのだと。
―― そこは面白いですよね。
賴住 そうですね。そのことがやはり極めて重要です。世の中に非常にいろいろな矛盾や葛藤が多くなっている今こそ、その中で議論して共同性を生み出していくということの原点をもう一度考えてみる。そういう意味で、聖徳太子の十七条憲法は重要なものではないかと思います。
―― そのような和をどのように考えていたのか。これから和を、われわれとしてどう生かすべきか。そのあたりはまた(シリーズの)後半で、実際に条文を読み解きながら先生に教えていただければと思っています。
賴住 はい。
―― それ以外の面で、この十七条憲法を今、読む意味はどこにあると、先生はお考えでしょうか。
賴住 そうですね。やはり聖徳太子というのは日本という国の骨格というものを、非常に考えていらしたと...