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「3年一区切り」50歳から準備を始めれば3回試行錯誤できる

定年後の人生を設計する(4)定年後の社会とのつながり方

楠木新
神戸松蔭女子学院大学教授
情報・テキスト
定年準備のポイントとして「3年一区切り」という考え方がある。50歳から準備を始めれば3回は試行錯誤できるということだ。会社員時代は会社を介して社会とつながっているが、退職後はそれがなくなってしまう。そのため大事になるのは、社会と直接つながる感覚を身につけることである。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:26
収録日:2021/08/25
追加日:2021/10/19
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≪全文≫

●定年準備は50代から始めて、「3年一区切り」で様子を見る


―― 自分を深めるというときに、先生がご本でお書きになっているのが、「3年一区切り」というお話です。これから実際に自分の好きなジャンルや伸ばしていきたい部分をぜひ深めていきたいという人たちは、どういうタイムスパンでやっていくといいのでしょうか。

 あるいは定年後を見越した場合に、どれくらいの準備期間が必要なのか不安に感じる人も多いと思いますが、この3年一区切りは、どのようなところから出てきた考え方なのでしょうか。

楠木 今、お話しされているのは、期限やライフサイクルの部分だと思いますが、まず定年の準備は50代からやれば間に合うというのが私の実感です。30代など早い時期から準備しなくてもいいですし、むしろその時期は本業のほうをきちんとやればいいでしょう。ですから、50代ぐらいから取り組み始める、やっていくのはどうかと思います。

 3年一区切りは、取材をしていて取材先の彼らの発言で気がついたことです。会社員をやりながら、阪神大震災で結果的に蕎麦屋をやることになった人が、ある一定のお客さんがついて、自信のある蕎麦を出せるようになったのに「3年かかった」と言っていました。また、この人は定年後だったかもしれませんが、起業されたある人の場合、キャリアとメンタルヘルスの関係で「落ち着くまでに3年かかった」と言っていました。

 このように、3年を一区切りで話す人が非常に多かったのです。1年あるいは5年という声はほとんど聞きませんでした。ということで、「石の上にも3年」ということわざもありますように、人があるポジションを少し変えるのに、3年は一つの期間だという実感があったので、3年ということを本に書かせてもらいました。

 一つの変わるパターンが3年で、それを3回ぐらい続けていると10年ぐらいになる。話を聞いていたときの私の実感ですが、そうして一つのことをやっている人は、自分の土俵を作っているのです。それで大きなお金を儲けることができるかどうかは別として、自分なりの居場所や自分なりの土俵をつくっていると感じています。つまり、「10年やればものになる」ということを、話を聞きながら感じていたので、それが期間的なところになっています。ただ、これは私の取材から得た実感なので、根拠がものすごくあるのかというと、ことわざぐらいしかないレベルですが。

 そう考えると、中学校も3年、高校も3年、小学校も6年で3年を2回と考えると、3年というのは、人が何かをやって一つの立場を変えたり、ポジションを動かしていったりするのに、一つのポイントの期間になると思っています。

―― これを少し頭の片隅に入れておくと、自分が何歳からそれを始めるかにもよりますが、一つの目当てや目途が立ちやすくなるかもしれないですね。

楠木 そうですね。先ほど言ったように、50歳から始めれば3回は回せるので、試行錯誤の期間はもちろんありますが大丈夫ですし、40歳後半ぐらいから考えて50歳前半ぐらいから始めれば、定年後の準備としては十分です。先ほどの雇用延長の期間も、使おうと思えば使えるので、あまり急ぎ過ぎなくてもいいと思います。しかし、「早くから始めたほうがいいと思います」とはお話ししています。

―― ここはあくまで念のための確認ですが、それはもちろん会社を辞めて準備をすることだけではなくて、仕事をしながら準備をするという形もありますよね。

楠木 そうですね。むしろ私が主張したいのはそちらのほうです。会社を辞めてすぐに準備するよりも、会社で勤めながら準備をして、起業や独立なり、自分の大義名分などでやりたいことに徐々にじわりじわりと近づけていく。そういうやり方で考えることが大事だと思います。先ほど言われた、(会社を)辞めるか・残るかの二者択一にはしないことが非常に大切なポイントではないかと思っています。


●自分をどこに持っていけば売れるのかという商売感覚を身につける


―― また、先生のご本の中で非常に印象深かったお言葉が、「成功と失敗の二元論に還元するのは市場感覚がない」というお話です。

楠木 そうですね。

―― これについてもぜひ解説をお願いできますか。

楠木 これは会社員の人に分かっていただけるかどうか分からないのですが、先ほども少しお話ししたように、社会とのつながりという意味では、会社員はやはり会社を通して、間接的につながっている存在です。社会と直接にはつながっていません。会社員の人が、例えば起業や独立など何か新しいことをやろうとしたときには、社会と直接つながる感覚が大事だと思っています。私の言葉でいうと、「商売感覚」みたいなことです。これはどういうことかというと、自分をどこに持っていけば売れるのかという感覚です。

 会社の中で会社員をや...
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