AIに善悪の判断を教える方法~新しい道徳論
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
道徳を可視化するための新しい欲と道徳の分類
AIに善悪の判断を教える方法~新しい道徳論(6)欲と道徳の関係
鄭雄一(東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻教授)
欲に応じて道徳を段階的に分類できると、鄭雄一氏は主張する。今までのように、欲と道徳を分けるのではなく、道徳の原動力に欲求があるという立場から、新しい分類方法を提唱し、道徳の可視化を目指すのである。(全8話中第6話)
時間:9分43秒
収録日:2018年6月20日
追加日:2019年7月3日
≪全文≫

●道徳を可視化するための分類を作る


 ここでいよいよ道徳の可視化という問題に入っていきます。ではどのように議論するかですが、今までどちらかというとまるごと「道徳は」とか、まるごとまとめて「幸福は」という議論が非常に多かったと思います。古典的な著作も、そういうものが非常に多いのですが、これでは多分議論が進まないだろうと思っています。

 実は道徳にも幾つかの段階があって、それぞれに違う要素が入っています。そう考えたときに道徳というのは、今までどちらかというと禁止命令としてばかり捉えられていました。こういうことしてはいけません、ああいうことしてはいけません、と言って、本当に禁欲的なお坊さんみたいな人しか、最高レベルには到達できないような捉え方をされてきたのです。

 しかしながら私たちは、それはちょっとおかしいのではないかと思いました。実は道徳も、道徳感情も原動力は欲ではないか、欲と道徳を二元的に相反するものとして捉えるのではなくて、道徳感情にも欲が原動力としてある、欲に段階があれば、道徳もその欲の段階に応じて分類できる。このように考え方を変えてみました。


●マズローの欲求五段階説は非論理的な分類である


 そこで、マズローの欲求五段階説をまず見てみました。これは非常に有名なものですし、皆さんもよく知っているだろうということで、見てみました。そうすると、このように5段階に分けています。彼はモチベーション、動機を基準にして分けているのですが、よく見るとこの安全欲求と生理的欲求は、動機が似ていて冗長なのです。われわれは、これは統一すべきだと考えます。それから承認欲求、所属と愛欲求も動機が似ていて冗長なのではないか、これも1つにした方がいいのではないか、と判断しました。

 その一方で自己実現欲求という最高レベルの欲求については、とても悩みました。なぜなら最近、宗教原理主義者による自爆テロなどがあるからです。狂信的な人で、このような純粋な動機を持って自爆テロをしている人がいます。そうするとそういう人たちが、本当の聖人みたいな人と同じところに入ってしまうわけです。彼らも自己実現欲求なのですが、これはおかしいだろうと思います。これを分けないのはおかしいのではないかということで、これは分類が不足しているということになります。論...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
「教養」と「リベラルアーツ」の違いとテンミニッツ・アカデミー
教養とリベラルアーツの違い…一般教養からWhy、Howへ
曽根泰教
「徳」から生まれる「感謝の人間関係」
「徳」の本質とは「自己の最善を他者に尽くしきる」こと
田口佳史
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(15)昭和の名将・樋口季一郎
【10min解説】ユダヤ人救出、奇跡の撤退…名将・樋口季一郎
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(2)オトポール事件と極東ユダヤ人大会
オトポール事件と極東ユダヤ人大会の真相…失脚覚悟の決断
門田隆将
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(2)司令官の決断と苦悩
玉砕したアッツ島の絵を毎朝拝んでいた樋口季一郎…司令官の苦しみ
門田隆将
ウェルビーイングを高めるDE&I(2)人と組織を取り巻く環境変化:後編
なぜ日本の幸福度は低すぎるのか?会社任せで失われる自律性
青島未佳
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫