優れた経営者の条件
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ファーストリテイリング柳井会長に見る経営者のセンス
優れた経営者の条件(5)抽象と具体の往復運動
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
センスのある経営者の条件とは何か。時間的な奥行きと広がりを持った、直列の思考こそが戦略を左右するだろう。さらにセンスのある経営者は、どんなに具体的な場面からでも抽象的な論理を引き出すことができる。ファーストリテイリングの柳井正会長を例に、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が解説する。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件」より、全8話中第5話)
時間:10分52秒
収録日:2017年11月16日
追加日:2018年1月27日
≪全文≫

●時間的な奥行きと広がりこそが戦略構想力を決める


 センスのある経営の第3の条件は、思考が直列だということです。センスのない人が戦略を考えると、箇条書き大作戦になってしまいます。要するに、ToDoリストのようになってしまうのです。そうではなくて、つながっているということが大事です。これは『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社、2010年)に詳しく書きましたので、よろしければ御一読ください。

 商売事には飛び道具がありません。ところが、センスのない人は戦略をつくるとなると、すぐに飛び道具を探しに行ってしまいます。何をやるにしても、AIでもFinTechでも構いませんが、「こうすればああなって、ああすればこうなる」というようなストーリーの中に位置付けて初めて意味が決まります。算数の時間に順列組み合わせを習ったと思いますが、戦略は組み合わせではありません。むしろ順列です。順列の中で初めて一つ一つのアクションやディシジョンの意味が決まるのです。

 組み合わせと順列の違いは、時間が入っているかどうかということです。時間が入ってくると、ビンタしてから抱きしめるのと、抱きしめてからビンタするということでは意味が変わってきます。こうした時間的な奥行きがなくなってくると、すぐに「シナジー」などと言い出す人が現れます。私はこれがセンスのない人の特徴だと思っていて、「シナジーおじさん」と呼んでいます。その人の頭の中は、全てが組み合わせ問題になってしまっているのです。時間的な奥行きが失われています。

 しかし実際には、時間的な奥行きと広がりこそが戦略構想力の8割方を占めているのです。私がセンスがあると思う人は、「それでだ…おじさん」です。例えば、「社長、どうやってもうけるんですか」と聞くと、「まずこういうことをやるでしょう。そうすると、だんだんこうなってくるよな。そうすると、こういうことができるようになるじゃないか。それでだ」と応えてくれる人です。ここには思考の時間という奥行きが見られます。


●センスとは抽象と具体の往復運動だ


 次に4つ目の条件です。一言でいうと、センスとは抽象と具体の往復運動です。

 私はずっとファーストリテイリングを手伝ってきましたので、会長の柳井正氏を例に取りましょう。

 商売というものは、ありとあらゆることが具体的です。成果は具体的にしか意味を持ちま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
プロジェクトマネジメントの基本(7)アジャイルプロジェクトと成功の鍵
発注側と受注側で異なるプロジェクトの成功・失敗要因
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(2)国家戦略目標の転換
経済発展から「国家の安全」へ…転換された国家戦略目標
垂秀夫
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
会計検査から見えてくる日本政治の実態(4)「給付金」の教訓
マイナンバーが生かせない…「三層分離」という大変な問題
田中弥生
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純