優れた経営者の条件
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センスのある経営者は、話が面白く、好き嫌いを優先する
優れた経営者の条件(7)好き嫌いを優先する
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
センスのある経営者はどこか明るく、物事の良しあしよりも自分の好き嫌いを優先させる。一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、ソニー・ミュージックエンタテインメント元代表取締役社長の丸山茂雄氏や日本電産創業者の永守重信氏を例に、センスのある経営者の条件について解説する。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件」より、全8話中第7話)
時間:8分07秒
収録日:2017年11月16日
追加日:2018年1月27日
≪全文≫

●センスのある人は自分の話を面白がれる


 経営のセンスの条件の7つ目は、話が面白いということです。話が面白いといっても、プレゼンのスキルのことではありません。ソニー・ミュージックエンタテインメントの代表取締役社長を務めた丸山茂雄氏という、日本の軽音楽界の重鎮がいます。私は大学を卒業後、最初の仕事はクラブ歌手をしていました。クラブやキャバレー、ニューハーフのショーパブなどでステージショーを行い、歌ったりダンスをしたり演奏したりしていたのです。もともとはスタジオミュージシャンになりたかったのですが、うまくいきませんでした。20代はこういった仕事をしていました。

 その頃、丸山氏はソニーミュージックの社長にして、日本の軽音楽、ポピュラーミュージックの大御所中の大御所です。当時はカセットの時代ですから、丸山氏にデモテープを聞いてもらいたいという人が、市ヶ谷のソニーミュージックの前で並んで待っていることもありました。私もぜひ一度聞いてもらいたいと思っていました。

 たまたま運良く丸山氏がライブハウスか何かにいて、声を掛けたことがあります。デモテープを渡すと、丸山氏はウォークマンを持っていて、その場で聞いてみてくれたのです。10秒聞いた後、「才能だからな」と言って返してくれました。単にやめた方がいいと言われただけのことなのですが、その時に、ものすごい吸引力のようなものを感じたことを覚えています。今の仕事をするようになってから、私はソニーのアドバイザーを長く務めましたが、丸山氏とはよく話しました。

 丸山氏はものすごく明るい方です。ただし、性格が明るいこととは違う明るさだと思います。この明るさは、商売をする時にいつも「こうすればひょっとするともうかるかな」と考えているところから来るものです。つまり、絶対にうまくいくと考えているからこそ出てくる明るさなのです。ファーストリテイリング会長の柳井正氏も、性格的には暗い方ではないかと思いますが、明るく感じられます。それはいつも「ひょっとしたら」という風に戦略を考えているからでしょう。そう考えることがなぜ明るさにつながるかといえば、戦略を自分が一番面白がっているからです。

 私がガリバーの戦略に興味を持ったのは、ガリバーで副社長を務めた友人の村田育生氏の話を聞いたからです。20年ほど前、みんなで集まって雑談しているときに、村田...

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