ストーリーとしての競争戦略
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
商売では時間的な奥行きが戦略の鍵となる
ストーリーとしての競争戦略(4)飛び道具に頼らない商売
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、戦略の鍵となる時間的奥行きについて解説する。スポーツには、短距離走のように生まれ持った運動能力が有利となる競技もあれば、バドミントンのように戦略が勝利の決め手となる競技もある。成熟した経済では、商売はバドミントン型になり、戦略こそがものを言うだろう。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第4話)
時間:7分11秒
収録日:2017年5月25日
追加日:2017年7月11日
≪全文≫

●商売に飛び道具はない


 時間的な奥行きこそ、戦略構想力の大半を占めるほど大切なものです。例えば、僕とほとんど同い年のプロ野球選手に、山本昌選手がいます。つい最近まで現役で活躍していましたが、速球といっても135キロぐらいしか出なかったようです。一方、山本選手の友だちのイチロー選手は大変な身体能力を持ち、ピッチャーと同じようにマウンドに立ってボールを投げれば、今でも150キロ近く出るというのです。2人は仲が良く、個人練習をよく一緒にしていたらしいのですが、ある時、イチロー選手が山本選手にこう聞いたそうです。スピードガンで測ると、イチロー選手の方が10キロ以上速いのに、バッターはやはり山本選手の方が球が速く感じると言うが、一体これはなぜなんだ、と。

 山本選手の答えは、プロの投手の腕の見せどころは、速い球ではなく、速く見える球を投げられるかどうかだ、というものでした。球が速く見えるようにするには、配球、すなわち順番が大事なのです。例えば、外に大きく流れるスローカーブを投げた後、内角高めぎりぎりに来る球は速く見えます。これは、戦略が順番の問題であるという典型的な例だと思います。

 ストーリーを順列として考えることが必要なのは、誰もが200キロの速球を投げられるわけではないからです。これは商売でも同じで、飛び道具がないということが商売の本質でしょう。釈迦に説法ですが、商売の素人は戦略をつくるとなると、すぐに必殺技を求めます。しかし実際は、そんなものはないということだと思います。


●飛び道具に頼らず、戦略のストーリーで勝負するしかない


 もう少しスポーツの例を続けます。確かに、世の中にはウサイン・ボルト選手のような人間飛び道具みたいな人がいます。こうした人はどうしても勝ってしまうのですが、しかし、それが成り立つのは短距離走だけだと思います。僕の友人で、昔ハードル競技をやっていた為末大氏と、リオオリンピックの後に話をする機会がありました。ボルト選手はやっぱりすごいという話をすると、為末氏いわく、「ボルトの成功要因はただ一つなんです。つまり、ボルトに生まれたことしかない」と言うのです。

 ところが同じ短距離走でも、100×4メートルのリレーになると、これまで言ってきたような意味での戦略が結果を左右するようになってきます。つまり、順番とつながりの問題です。ただ、とはいえやは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(7)幸福度を高める方法
幸せも不幸せも伝染する――幸せの輪を広げて世界平和へ
前野隆司
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎