●日本のファミリー企業が良く見える本当の理由
この先の話は、上場企業のトップの方には若干言いにくいことなのですが、なぜ日本のファミリービジネスが、子孫の代がやってもパフォーマンスが良いかという問題に対するわれわれの答えを述べます。ファミリービジネスがアメリカでは良くなく、なぜ日本だけいいかというと、日本のファミリー企業が特別良いわけではなく、アメリカに比べると、普通の会社のパフォーマンスが悪すぎることと関係があります。
俗にいう、ROE経営などといわれている話です。普通の会社は、コーポレート・ガバナンスがうまくいっていないので、パフォーマンスが悪すぎるのです。だからファミリービジネスの方がよく見えるのです。逆にいうと、普通の会社はもう少しファミリービジネスを見習って、パフォーマンスを改善するべきポイントがあるということです。そこに、日本の経済の問題を解く非常に大きな鍵があるのだろう、というのが一つのポイントです。
もちろんここで申し上げるのは一例で、ファミリービジネスの会社の全てが良いわけではありません。ファミリービジネスであればパフォーマンスが良いとか、ファミリービジネスであれば優れているというわけでは当然ありません。今まで話してきた話は、あくまで平均的に見た場合の話です。問題を起こしている会社も中にはありますし、残念ながらうまくいかなかった会社で、トップがかなり私的にお金を使ってしまうといった問題も起こっています。
●経営の透明性向上がパフォーマンスを高める
説明を少し飛ばしてしまいましたが、ヨーロッパの研究などで分かるのは、ファミリービジネスのパフォーマンスを良くしていく上で大事なことは「経営の透明性を高める」ところだということです。経営の透明性を高めて、中できちんとしたガバナンスが行われていることを社内外に示していくことが、結局はパフォーマンスを高める役割を果たすといわれています。このあたりが、日本の大きな特徴だろうと思います。
繰り返しになりますが、経営のパフォーマンスとは、能力とモチベーションの掛け算です。だからその子孫のオーナー経営者は強いモチベーションを持っていることが多く、それゆえそのビジネスを受け継ぎたいというところが非常に重要なポイントなのです。
皆さんにどこまでご参考になるのか分かりませんし、既に十分ご存...