ファミリービジネスとAI
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AI時代に幼稚園や小学校時代から始めるべき教育とは?
ファミリービジネスとAI(8)質疑応答
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
シリーズ最終話は東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏への質疑応答編だ。AI時代の教育についての質問に対して、柳川氏は現状の課題を挙げながら、今後求められる能力は自身の提唱する「40歳定年制」を考えるときのポイントにもなると答える。また同氏は、自らが育った場所でもある南米と東南アジアで、なぜ経済発展に差が出たのかについても論じた。(2016年7月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ファミリービジネスと産業構造の変化」より、全8話中第8話)
時間:10分30秒
収録日:2016年7月25日
追加日:2016年11月11日
≪全文≫

●新しい組み合わせは、遊びの中で培った


――AIが発展していく時代において、あるべき教育の姿はどんなものか。

柳川 教育にはかなりいろいろな問題があります。順番に話しますと、まず小学校レベルでは、大きなポイントが二つあります。

 一つは、小学校レベルから「新しい組み合わせを見つけていく」能力の向上です。経営もそうだと思いますが、これまでにない新しい組み合わせから、経営の新しいアイデアは出てくるものだと思います。今までにない組み合わせを見つけ出す、これがAIにはできないことです。そして、この新しい組み合わせを見つけ出す訓練は、幼稚園や小学校レベルからやっていかなければいけないことだと思います。

 それでいくと、やや突拍子もない話だと思われるかもしれませんが、野山で何にもないところから遊びを見つけ出す、あるいはつくり出すということを、皆さんはやっていたと思います。「こんな遊びをしようよ」などと言って遊びを考え出しますね。そこ(野山)にあるのは、別にきれいな積み木などといったものではなく、草や棒きれか何か、一見すると遊びとは全然関係のないものです。これらを使って何か遊びを考えようとします。あれは、この「新しい組み合わせを見つけ出す」ために、非常に重要な能力だと思います。私は今の教育が、ここの部分をやらな過ぎていると思います。これが一つ目の重要なポイントです。


●実は文章が読めていない子どもたち


 もう一つは、先ほどの新井紀子さん(国立情報学研究所教授)と一緒に研究している話をしました(第6話)が、その新井紀子さんがすでにやっていることです。やや衝撃的な事実ですが、現在、かなりのレベルの高校生が実は文章を読めていません。つまり理解力の話です。問題がマークシート方式だと、それなりの点が取れます。ところが、有名な高校であっても、文章がきちんと読めているかどうかを調べる問題、例えば「AならB、BならC、だったらAならC」など、極めて単純な言語の理解に対する問題を解かせると、ぼろぼろなのです。

 これはとても衝撃的な話です。かなり高いレベルの高校生でも、文章をきちんと読めていないという現象が起こっているのです。日本語は割と難しい文章で、原因と結果がかなり離れて書いてあるなどします。教科書でも同じです。彼女がやった試みは、教科書の文章をまるまる取ってきて、この文章で意味し...

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