ファミリービジネスとAI
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人工知能の能力でできることはかなり限られている
ファミリービジネスとAI(4)人工知能に対する誤解
経営ビジネス
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏は、AI(人工知能)をめぐる昨今の受け止められ方には、多くの誤解がつきまとっているという。柳川氏によれば、人工知能は決して人間に反旗を翻すような存在にはならないという。人工知能にできることは限られているため、それをどう使いこなすかが今後の課題になる。(2016年7月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ファミリービジネスと産業構造の変化」より、全8話中第4話)
時間:7分19秒
収録日:2016年7月25日
追加日:2016年10月14日
≪全文≫

●人工知能に対する誤解(1):人間の能力を凌駕した?


 次に人工知能の話に移りたいと思います。人工知能の話は世界的にも大きな話題になっています。新聞やマスコミの報道を見ると、もうAI一色という感じです。こうした状況が良いか悪いかは別にして、端的にいってAIは世界を大きく変えていくだろうと思います。

 前回も申し上げたように、ファミリービジネスはこうした変化に対し、非常に大きな優位性を持ち得るというメリットがあります。人工知能の発展は、昔であればロボットや人工知能にできることは、単純労働やルーティンワークだけだといわれていたのですが、最近の急速な発達で、かなり知的能力を必要とする仕事まで、コンピュータが代替するようになり、これが働く環境や企業の環境をかなり急速に変化させることは、すでに広く知られるようになってきました。

 何が起こっているのかというと、細かくは説明できませんが、流行の言葉でいうと「ディープラーニング」や「ビッグデータ」の活用、それから孫正義さん(ソフトバンクグループ)が今度アームホールディングス(イギリスの大手半導体開発会社)を買収したので再び焦点が当たっているIoT、「モノのインターネット」といわれている分野に発展が起こっているということです。ここがかなり重要なところです。

 ただし大きなポイントでは、かなり誤解があります。囲碁のプロにAIが勝ったというニュースがありましたが、GoogleのAI(Googleのディープマインドいう会社が開発した「アルファ碁」のこと)が勝ったので「AIが人間を超えた」とか、「Googleの人工知能がやがて人類の知能を凌駕するに違いない」という論調がマスコミにあります。しかしこれはかなり誤解です。それも、かなりいろいろな誤解が入っています。

 そもそも人間の能力を超えたコンピュータは、ずっと前からありました。計算のスピードならば、ずっと前にコンピュータは人間を追い越しています。部分的には、コンピュータが人間を追い越したことは、かなり前からのことです。だから今さら、部分的に人間を追い越したことをそこまで驚く必要はありません。


●人工知能に対する誤解(2):囲碁の勝者はAI?


 また囲碁の話でも少し誤解があります。勝ったのは人工知能ではありません。勝ったのは、Googleの人工知能を使った人間です。そのプログラマーが裏側で必死に頑張っている...

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