ファミリービジネスとAI
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
人工知能に代替されない能力を!「AI時代」の教育法
ファミリービジネスとAI(7)これからの教育に向けて
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
これからの教育に求められるのは、人工知能に代替されない能力の育成だ。しかし従来の教育はむしろ代替されやすい能力ばかり重視してきた。東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏は、産業構造が大きく、そして速く変動する現代、柔軟性と素早い決断力、小回りの利く組織こそが、世界と渡り合えると語った。(2016年7月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ファミリービジネスと産業構造の変化」より、全8話中第7話)
時間:5分21秒
収録日:2016年7月25日
追加日:2016年11月4日
≪全文≫

●これからの「秀才」は歩く百科辞書ではない


 次は教育の話です。残念ながら従来の学校教育には、AIやコンピュータに代替されやすい能力を養成してきた傾向があると思います。今の子どもの学校の勉強を見ていてもそうですが、ひたすら暗記をさせて知識を詰め込み、それに対してどれだけ覚えているかを理解させるという教育が、いまだに行われています。でもこういうことは、ほとんど意味を持ちません。

 取材に来たいろいろな人によくお話しする例で、昔は「百科事典みたいな人だね」というのは、かなりの褒め言葉でした。そういう人を本部会や営業に連れて行くと、知らないことがあってもすぐに「ああ、それは実は何年前にこういうことが起きて」と話をしてくれるので、とても助かったわけです。ところが残念ながら、今はそんな人を必要としません。みんなスマホかタブレットを持っているので、ウィキペディアなどで引けばすぐ出てきます。ウィキペディアという百科事典がそこに入っているからです。

 昔はある程度知識を持っているとか、覚えていることにとても価値があったのですが、スマホが片手にある時代には、その必要性はビジネスにおいて、かなり下がっています。むしろ重要な能力は、その情報を元にして、お互い「ああ、こう分かりましたよね」というところから話をどう広げていけるか、交渉を続けていけるかにあるはずです。

 ところが、そこに対する教育が残念ながら行われていないのです。知識や暗記能力を問うても、AIには簡単に負けてしまいます。AIに代替されない能力を、学校教育でどうやって育てていくか。そのための入試をやっているのは東大ではないのかと言われると、返す言葉もありませんが、先ほど申し上げたように、私はいわゆる東大入試は一回も受けたことがないので、そこは許していただけないかと思っています。

 残るは理系と文系の融合です。これは本当に必要なことで、そこが完全に分かれてしまうことが問題だろうと思います。


●リーダーシップと迅速さという巨大なメリット


 最後に、これまで申し上げた構造の中でいくと、何が起こってくるかをお話しします。社会構造の非常に大きな変化が起こっていて、その変化にうまく対応していかなければいけません。そうすると、どちらかといえば小さくて新しい会社が、世界を相手にビジネスできる時代になっています。例えば、最近話...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎