ディープラーニング最前線
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
人工知能が囲碁で人間に勝利!「アルファ碁」の勝因は?
ディープラーニング最前線(1)囲碁で勝利した人工知能
科学と技術
松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻長 教授)
東京大学大学院工学系研究科准教授・松尾豊氏がディープラーニングの最前線と今後の可能性について解説する。「囲碁で人工知能が人間に勝つにはあと10年はかかる」といわれていた中、人工知能の「アルファ碁」がトップのプロ棋士に勝利。人工知能の急速な進化の鍵を握るディープラーニングの認識技術の核心に松尾氏が迫る。(全4話中第1話)
時間:8分13秒
収録日:2016年4月20日
追加日:2016年8月3日
≪全文≫

●衝撃的だったアルファ碁対トップ棋士の対戦結果


 東京大学大学院工学系研究科准教授の松尾豊です。ディープラーニングの動向とこれからの可能性などについて話していきたいと思います。

 先日、人工知能の「アルファ碁」が囲碁でトップ棋士の一人である李世ドル(イ・セドル)さんに勝ったという出来事がありました。Googleのディープマインドいう会社が開発したプログラムが「アルファ碁」なのですが、4勝1敗で勝ったということで、かなり関係者にとって驚きでした。

 囲碁は、将棋やチェス、あるいはオセロ、こういう一連の思考ゲームの中で最も難しいとされています。チェスでコンピューターが人間に勝ったのは1997年で、その次に難しい将棋がここ2~3年で勝てるようになってきました。昨年(2015年)に情報処理学会が事実上の勝利宣言を出していますので、将棋の場合、コンピューターが人間に勝ったのは2015年です。それに対して、囲碁はかなり難しいので、人間に勝てるようになるのは大体将棋の10年遅れと言われていたのです。ところが、それがあっという間に勝ってしまったということで、かなりの驚きでした。

 もともとは今年の1月に『Nature』に論文が載りまして、このディープマインドの「アルファ碁」がヨーロッパのチャンピオン、つまりプロ棋士に勝ったという内容のものが出たのです。それはそれですごいことなのですが、ただ、その方はプロですが2段だったため、トップのプロ棋士よりはだいぶ差があるということで、トップと対戦すると勝てないのではないか、というのが大方の見方でした。ですから、囲碁に詳しい方でも人工知能の研究者でも、李世ドルさんが5勝0敗か4勝1敗で勝つだろうと言っていたのです。それがふたを開けてみれば、コンピューター側が4勝で、人間側が辛くも1勝したということで、かなり衝撃的な出来事でした。


●人間と人工知能の戦略にはずれがある


 非常に印象的だったのは、「アルファ碁」が打つ序盤の手がどうも悪い手のように見えることです。解説者も「これは間違えましたね」などと言うのですが、それが中盤・終盤になってくると、うまい具合につながってきて結果的に見るといい手だったということになるのです。要するに、大局観で人間を上回ってしまっているわけです。こういうことがかなり起こっているため、解説者もだんだん...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
小宮山宏
2050年のための「前向きの愛国心」(1)木造都市へのシフト
木造ビルで20階…新しい暮らしを支える森林産業の確立を
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮