ストーリーとしての競争戦略
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
柳井正氏はいつも「ひょっとしたら」で考えている
ストーリーとしての競争戦略(8)ひょっとしたらの発想
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏による、優れた戦略構想についての解説講義の最終回。Amazonは自社在庫を抱えているためROAが低い。しかしこの非合理的要素は、顧客に意思決定インフラを提供するのに必須である。戦略を立てる際には、「ひょっとしたら」という気軽な発想で考えてみるべきだ。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第8話)
時間:7分35秒
収録日:2017年5月25日
追加日:2017年7月25日
≪全文≫

●デリバリーウインドーの約束をする


 Amazonは今ではeコマースの帝王と言われたりもしますが、昔からずっと、特に投資家やアナリストに批判されてきたことがあります。eBayやGoogleなど、同じ頃に出てきた他のネットベースのベンチャー企業と比較して、ROA(Return On Asset:総資産利益率)が著しく低いのです。Amazonはネットの会社であるにもかかわらず、アセットが非常に重く、分母が大きいために、いつもROAが低くなっています。これは、Amazonが世界中に巨大な倉庫をたくさん造っているからです。創業者のジョフ・ベゾス氏は、自社在庫を積み上げたいのだ、とよく語っていましたが、この点にアナリストの批判が集中しました。

 というのは、eコマースの利点は、小売りの宿命だった在庫から解放される可能性にある、と考えられていたからです。何かのきっかけで顧客を捕まえれば、サプライチェーンが全部ITでつながっていますから、自社で在庫を積まなくても済みます。これを夢見て投資した人がたくさんいました。したがって、なぜ倉庫を造って在庫を積むのか、と批判が出てきたのです。

 しかし、ジェフ・ベゾス氏にはストーリーがありました。Amazonのコンセプトは購買意思決定のインフラでした。それを提供するためには、eコマースでよくあるように、顧客が買おうとしている商品が、例えば「3~5営業日以内に出荷」であってはなりません。これでは顧客は意思決定できないからです。むしろ、デリバリーのタイミングがきちんと約束されていなければ、顧客は購買の意思決定を下せません。ですからAmazonは、例えば「8時間と4分以内に発注すれば、明日には届く」という約束をします。これはクイックデリバリーではなく、デリバリーウインドー(配送期間)の約束をするということです。Amazonにとってはこちらの方が大切なのです。

 誰でも投資すれば、早く届けることは可能です。しかしもっと大切なのは、「あなたが探しているこの本は、2週間は絶対に届かない」と約束することです。これはアウトオブストック(品切れ)を意味しますから、顧客はAmazonで中古の本を探すかもしれないし、リアルの本屋に行こうと思うかもしれません。これが、顧客の購買意思決定のインフラになるということの意味です。それを実現する魔法の杖はありませんから、自社で在庫管理をするしかなくなります。ストーリー全体を見るとこのよう...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治
真理は平凡の中にある
感動した言葉は野球部監督の「あいさつは野球より難しい」
上甲晃

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(10)ユダヤ人特集~鶴見太郎先生
【10min解説】鶴見太郎先生《教養としてのユダヤ人の歴史》
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(3)戦争終結シナリオと大統領選挙の行方
MAGA連合に亀裂!?イラン戦争が及ぼす大統領選への影響
東秀敏
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(1)なぜ『神国日本』なのか?
ラフカディオ・ハーンが解明した「美しい日本」の秘密と未来
賴住光子
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹