ストーリーとしての競争戦略
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商売の戦略はストーリーだというのは当たり前の話
ストーリーとしての競争戦略(2)因果論理のつながり
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、ストーリーとしての競争戦略の意味を解説する。井原西鶴の時代から、戦略は「儲け話」としてストーリーだった。事業で長期利益を上げるためには、競争相手との違いを作らなければならないが、その違いを因果論理のつながりで結び付けていく必要がある。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第2話)
時間:9分43秒
収録日:2017年5月25日
追加日:2017年7月4日
≪全文≫

●稼ぐ力の実態は常に事業にある


 「稼ぐ力」についていえば、「企業」と「事業」の2つは、必ずしもイコールではありません。例えば、こういうケースが一番典型的です。会社は、何らかの商売の塊、事業の器です。大きな会社になると1つの器の中に、さまざまな商売の塊(事業)が入っています。会社全体を代表する人の一つの役割は、資本市場における競争に相対することです。こうした、競争や戦略、経営者といった要素は、この図の下に位置します。つまり、ある商品なりサービスがあって、お客さまがいて、競争相手がいて、どこが儲かっていて、どこが儲からないのか、といった話は、全て事業レベルで起きていることです。もちろん、1つの事業に集中している会社であれば、結果的に会社全体の社長と事業の経営者がイコールになりますが、そうでないケースも多いでしょう。ですから、以下の話の主語は、すべて事業経営者だと考えてください。

 もちろん会社は、法人という形で法的な裏付けを取るといった点で必要ですが、「稼ぐ力」という点ではあくまでフィクションです。実態は常に事業の方にあります。「事業」が主で「会社」が従だという、この主従関係が大切です。

 これがひっくり返ると、東芝のような不健康な状態になるのではないでしょうか。いろんな問題があるでしょうが、根底的な問題の一つは、個々の事業の「稼ぐ力」をないがしろにして、本社が前に出すぎたということです。例えば、しばらく前のパソコン事業の問題です。本来は、競争の中でパソコン事業がどうやって稼いでいくのかということが肝心のはずですが、本社が僭越にも、「稼ぎが足りないからもっと数字を出せ」とか、「チャレンジしろ」などと口を出してしまったのです。これでは、主従関係が逆転してしまいます。リードしすぎだ、ということです。

 僕の個人的な好みでは、事業経営者がでかい顔をしているのが、良い会社です。会社という器は、本来、それぞれの商売がフルに力を発揮して稼いでいくためのサポートをするものであるべきなのです。


●戦略とはストーリーである


 こうした中、競争戦略というものは、事業で長期利益を出す手段として位置付けられます。話は極めて単純で、要するに、競争相手との違いをつくるからこそ選ばれるということです。「ストーリーとしての競争戦略」と言っているのは、さまざまな違いを長期利益に向け...

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