これからのベンチャー論~スモールサイズと失敗に学ぶ~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
少人数のベンチャーからイノベーションが生まれる時代
これからのベンチャー論~スモールサイズと失敗に学ぶ~
「働き方改革」への是非はともかく、実際に若者たちの間では「就職」に対する意識が変化している。小さな会社を自ら興し、将来への布石にする潮流が目立っているのだ。それはイノべーションを生み出すエンジンへの目利きということかもしれない。
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11分21秒
収録日:2019年7月10日
追加日:2020年1月25日
≪全文≫

●若者の「就職」意識が変わっている


柳川 少なくとも若い世代に関しては、近年かなり急速に就職の意識が変わってきているのだろうという気がしています。大手の企業に行くのではなく、ベンチャーに行くなり、自分で会社を興そうという人が、うちの大学(東京大学)でも割と増えています。構造的にはだいぶ変わってくるのではないかと思います。

―― ベトナム戦争が終了した後、大企業がリストラばかりしているうちに、ハーバード、コロンビア、スタンフォード大学の出身者が自分でベンチャーを始めたことで、流れが変わりました。あれと同じようなこととして、特に伊藤元重先生のゼミや植田和男先生のゼミを見ていると、30代前半で自分の組織をつくっている人が出てきています。あれは、いいことですよね。

柳川 いいことだと思います。特に今は、少人数のベンチャーこそ、イノベーションや生産性の向上がうまくいく時代だと思います。大企業がうまくいかなかったという面もありますが、そういう若い小さな会社に、非常に伸びしろがある。社会全体の環境も、それにうまく合わせてつくっていくことだと思います。

―― そうすると、スモールサイズ(小さな組織)のほうが自分の目は届きやすいですし、スモールサイズでの開発・製造・販売を早回しするほうが強いですよね。

柳川 やはり今の時代は、小さな組織のほうが圧倒的にメリットが出る時代だと思います。昔は、大きくないとできないことが結構あって、大きな企業でないと、なかなかお金が借りられず、資金調達ができなかったり、非常に大きな設備投資をしないとビジネスにならなかったりしました。今は、小さな組織でも資金調達がしっかりできますし、別のところに生産委託をすれば、自分たちの思っていることをしっかり社会に示し、売っていくことができるようになっています。

 プラットフォーム企業ができてきた結果として、技術だけではなく、いろいろな経済構造の変化が起こりました。ある意味、組織のあり方についてもずいぶん変わってきていて、イノベーションを生み出すエンジンがどこから出てくるのか、という構造が世界全体で変わっているということです。その波が、日本にやってきていると考えたほうがいいと思います。


●大組織の難しさをカバーする小さな会社の面白さ


―― となると、むしろ意思決定が早くて、言語が通じるというか、言語体...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦