真山仁の経営論
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日本企業は、哲学がないまま生き残ってしまった
真山仁の経営論(1)日本企業が成長力を失った理由
真山仁(小説家)
日本は、企業としての新陳代謝が30年ほど止まっているという。それはいったいどういうことなのか。また、なぜそうなってしまったのか。小説家・真山仁氏が、日本企業の問題点について語る。(全3話中第1話)
時間:9分03秒
収録日:2018年4月10日
追加日:2018年8月13日
≪全文≫

●企業としての新陳代謝はもう30年ぐらい止まっている


―― 関西の財界を中心に存在した個性的な企業が今では少なくなっているようですが、それはなぜなのでしょうか。

真山 創業者が成功して、そのまま今も続いている企業の数がすごく少ないのがひとつの理由でしょう。昔の創業者は成功すると、次は世の中の役に立たなければならない、と思うぐらいの心意気を持った人がたくさんいたと思います。今はそうした経営者が本当に少なくなりました。

 商社でもそうですが、関西には創業者が個性的な会社が多かったのです。いわゆる三井や三菱のような、当時財閥になっていった商社にしても、創業者が頑張り、他がやらないことをやって成功してきました。家電企業などはほとんどそうでした。創業者がものづくりに成功して会社を成長させるという文化がこの国からなくなってしまったというのが、アップルやグーグルを生んだアメリカとの最大の違いです。

 すごく象徴的なのは、例えばアメリカは国を代表するような会社でも、「駄目なら潰してもいい」ということで大企業を整理することもあるところです。それが企業としての新陳代謝なのですが、日本ではそういうことがなくなってしまったのです。

 今は会社を守れる人しか経営者になれません。それは日本の企業が官僚化していっているということで、成長より安定を求めているということなのでしょう。日本の企業がこれ以上成長するのは難しいと思います。逆にいうと、企業としての新陳代謝はもう30年ぐらい止まっているということです。


●グローバルスタンダードを曲解し、日本なりの経営手法を見失った


真山 もう1つの要因は、バブルがはじけた後、外資系の発想からグローバルスタンダードを取り入れ、4半期ごとに結果を出さなければならなくなったことです。

 そこでは「ステークホルダー」という言葉が投資家のことだと曲解されました。本来は消費者や従業員を含め、会社と社会的に関わるいろいろな人のことをステークホルダーと呼ぶのに、日本では投資家だけだと思われているのです。そして投資家は、投資に値するだけの株価を維持できなければ駄目な社長だと判断します。ところが、例えばサービス業などは、1カ月ごとに売り上げや利益が変動します。出版であれば、良い本を出せば売れますが、サービス業はそうではありません。他にもプロジェクトに3年も5年も...

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