優れた経営者の条件
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多様性マネジメントと経営人材不足というグローバル化の壁
優れた経営者の条件(3)多様性と経営人材の不足
経営ビジネス
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
グローバル化の壁は英語以外にも存在する。多様性のマネジメントと経営人材の不足である。社内にすでに存在するはずの多様性をいかに活用して、経営に統合していけばいいのか。一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、経営におけるダイバーシティの意義について解説する。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件:戦略ストーリーを創るセンス」より、全8話中第3話)
時間:8分28秒
収録日:2017年11月16日
追加日:2018年1月27日
≪全文≫

●日本は人為的に多様性を高めていくしかない


 第2の壁は、多様性のマネジメントです。グローバル化していく中で今、ダイバーシティが欠如しているとよく言われます。確かに、日本はその通りでしょう。ただしその際、どこと比べて多様性がないと言われているのかを考えなければいけません。一つにはヨーロッパです。考えてみると、ヨーロッパは狭い所に国が地続きになっていて、文化や言語の違う人たちが昔からずっと暮らしてきて、絶えず戦争を繰り返してきた場所です。したがって、多様性の問題は天然のものです。朝起きれば呼吸をするように、多様性問題を肌で感じてきた人たちです。だとすれば、ダイバーシティがうまくなって当然でしょう。他方、日本はアメリカとも比較されます。アメリカは人工国家です。国ができた瞬間にデフォルトが多様性です。当然、国内に多様性問題が深く組み込まれているわけです。

 ヨーロッパやアメリカに比べて、日本は全然状況が違います。地理的にも歴史的にも文化的にも社会的にも、多様性があまりない国です。それをとやかく言うのは、私に言わせれば、地震のない国の耐震設計のようなものです。地震がなかったのだから、耐震設計ができていなくて当たり前でしょう。したがって、日本では人為的に多様性を高めていくしかありません。

 ただし、ダイバーシティを強調する人の中には、結構うさんくさい人も多いのではないかと私は疑っています。

 もちろん私の偏見ですが、そういう人たちは多様性それ自体が目的になっている節があります。少なくともビジネスでは、多様性の先にある成果に向けて多様な人たちを統合していくということが、経営の腕の見せどころです。単純にどう統合するのかという話になると、やたらとアメリカンスタンダードみたいなものが出てきます。確かにそれはよく分かります。あれだけの強国で、英語が母国語で、100年近くにわたって資本主義をリードしてきた国です。当然彼らは、宣教師的な行動を取ります。日本が逆の立場になったと考えても分かりますが、自分たちが一番だと思うのは当然です。ただし、あくまでも統合が経営の質なのであって、多様性自体は第一の目的ではありません。


●一人一人が好き嫌いを表明し、それを経営として活用するべきだ


 ある組織が組織として必要である理由は、そこにいる...

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