優れた経営者の条件
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
センスのメカニズムを動かしているのは努力の娯楽化
優れた経営者の条件(8)努力の娯楽化
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
仕事では自分の好き嫌いを優先させるべきだ。好きなことであれば自分の努力が娯楽化されるからである。これが余人をもって代えがたい経営人材になるためには欠かせないことなのだ。一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏は、この観点から昨今のホワイト・ブラック企業という名称にも異議を唱える。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件」より、全8話中第8話)
時間:9分34秒
収録日:2017年11月16日
追加日:2018年1月27日
≪全文≫

●余人をもって代えがたいといわしめなければ、経営ではない


 最後に、仕事論についてお話しして終わりたいと思います。私は、趣味は100パーセント自分のためのもの、仕事は自分以外の誰かのためのものだと考えています。趣味は自分が楽しければそれで良いのです。ところが仕事は、自分以外の誰かのためになって初めて仕事になります。趣味と仕事は明確に違うものなのです。

 私の趣味は音楽です。昔は仕事で音楽をやっていましたが、今でもライブハウスで、ロックバンドでライブをしています。しかし誰も来てくれません。もちろん価値がないからです。趣味だから価値がないのです。自分が気持ち良くなるためにやっていることです。ただし、たちが悪いのは、人が来てくれた方が気持ちが良いということです。だから、ぜひ来てくださいとお願いしていますが、誰も来てくれません。

 好き嫌いは趣味であれば構わないが、仕事では好き嫌いなんて言ってはいられないという方がよくいらっしゃいます。仕事で大事なのはむしろ良しあしだと言われるのですが、私は仕事こそ好き嫌いだと考えています。こういう話をすると、癒し系の話かと誤解されます。ナンバーワンよりオンリーワンとかいった、相田みつをのような話ではないかと思われるわけです。相田みつをも頑張らなくてもいいから、具体的に動けと言っていたらしく、結構厳しい人だったようですが。

 私はこれまで五十数年生きてきて、世の中はそんなに甘くないということをよく分かっています。スキルであれこれできると言っているうちは、まだまだ素人です。経営の世界には非常にたくさんの人がいます。余人をもって代えがたいといわしめなければ、経営ではないと思うのです。ここがスキルとセンスの違いでしょう。


●センスのメカニズムを動かしているのは努力の娯楽化だ


 私は努力というものに対して懐疑的で、努力してうまくいったことはあまりありません。努力が必要だと思った時点で終わっているのではないか、向いていないのではないかと考えてきました。その分野についてセンスがないのではないかと思ってしまうのです。私の原則は無努力主義です。

 自分の中にある動因で好きなことがあれば、本人は努力だとは思わないということです。はたから見ると非常な...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(2)プロテスタントと「予定説」
カトリックとプロテスタントの違いは?「救済予定説」とは?
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝