メソポタミア神話の基本を知る
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ギルガメッシュ叙事詩が描く「森の神」の殺害と死後の世界
メソポタミア神話の基本を知る(2)ギルガメッシュと「イナンナの冥界下り」
鎌田東二(京都大学名誉教授)
メソポタミア神話というと、『ギルガメッシュ叙事詩』という言葉をよく耳にする。この物語には、英雄王ギルガメッシュが森の神フンババを打ち倒す物語が描かれている。これはまさに、人間の力で自然を征服し、都市文明をつくりあげる象徴的な物語だ。また、死後の世界の物語としては、イナンナ女神の冥界下りという有名なエピソードがある。さらに、ギルガメッシュは、3分の1が人間で、3分の2が神であるために死ぬ運命を背負っていた。それゆえギルガメッシュは、不老不死の薬を探求するのだが……。このようなメソポタミア神話に描かれた世界は、現代のクローン技術や遺伝子工学のルーツともいえるかもしれない。(全3話中2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分39秒
収録日:2022年4月12日
追加日:2023年6月21日
≪全文≫

●『ギルガメッシュ叙事詩』に描かれた森の神フンババの殺害


―― メソポタミア神話というと、聞き覚えがあるものとして「ギルガメッシュ」という言葉があります。『ギルガメッシュ叙事詩』はこの神話の中でどのような位置づけになるのでしょうか。

鎌田 ギルガメッシュという存在は、「実在の人物である」というように描かれているのですが、神話上の英雄のような人物としても考えられます。なぜなら、神々の末端に属しているんですね。(メソポタミア文明の)王様は、神の血も引いている。同時に人間でもある。ですから、そのいちばん最初のモデルになるような英雄神あるいは英雄王が、ギルガメッシュです。一部の伝承では「ビルガメッシュ」という名前にもなっている。

 ギルガメッシュが何をしたかというと、「人間の始まり」や「王の始まり」ということになります。まず重要なのは、森の神を打ち破ったということです。

 この世界には、さまざまな「荒ぶる力」や「妖怪のようなもの」「大自然の威力」というものがあります。例えば、現代の私たちの世界では災害が頻発しています。こうした災害を引き起こすのは、昔でいえば、妖怪やモンスターのような神々、すなわち「悪神」という存在です。そうした荒ぶる神を封じ込めなければいけない。これは、スサノオがヤマタノオロチを退治するのにも似て、そうした荒ぶる神々を退治する役割の英雄が登場してこなければいけない。それがギルガメッシュです。

 (ギルガメッシュは)森の神フンババ(あるいはフワワともいいますが)を殺害する。その殺害するときに、エンキドゥという半身が人間のようで、半身が馬のような友人の協力を得て、フワワを打ち倒す。それによって、人間社会の中の統治の構造というか、安定した、コントロールされた都市文明というものを築いていく。

 それは例えば、「森の支配」ということは、木を切り倒していくとか、森や山が水源であったらそこから水を引いて灌漑用水にして農業を行っていくなどです。あらゆる自然が持っている「大洪水を起こす」などといった大きな猛威や力を、人間自身の力でコントロールしていくということの象徴的な表現になります。


●メソポタミア神話における死後の世界――イナンナの冥界下り


―― 人間の場合は「死ぬ」ということになりますが、「死後の世界」は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
イスラム教におけるシーア派とスンニ派の違い
イスラム教スンニ派とシーア派の違いとは?
山内昌之
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
為末大
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介

人気の講義ランキングTOP10
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(4)日本人の倫理と宗教
世界が驚いた日露戦争の日本の強さ…秘密は庶民の心にある
賴住光子
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
編集部ラジオ2026(7)10分解説!新撰組の魅力とは?
「新撰組」の真の魅力は史実と物語の隙間にあり
テンミニッツ・アカデミー編集部
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤
『孫子』を読む:地形篇(2)敗戦に至る「6つの特性」
「敗の道」と「上将の道」――現場のリーダーの心得として
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄