『孫子』を読む:虚実篇
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
敵に後れを取ったらどうすればいいか、形勢逆転のポイント
『孫子』を読む:虚実篇(2)形勢逆転への戦略と「無」の重視
田口佳史(東洋思想研究家)
戦争でもビジネスでも、いかに相手より有利な立場に立つかは基本中の基本。そのためには主導権を取ることが重要だが、すでに相手が主導権を握っている場合は不利な状況を強いられるしかない。しかし、こうした厳しい状況でも形勢を逆転して、こちらが主導権を奪還する戦略が必要である。「虚実篇」の第2話では、形勢逆転のポイントと『孫子』で重視している「無」について解説していく。(全6話中第2話)
時間:10分09秒
収録日:2020年5月21日
追加日:2022年1月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●敵を自分の思い通りにさせないためにすべきこと


 そして「能く敵人をして至るを得ざらしむるは、之を害すればなり」です。「至るを得ざらしむる」ということは、敵を自分の思い通りにさせないということです。「之を害すればなり」は、妨害するということです。ですから、こちらが遅れてしまい敵が思う存分やるというときに、せめてそれを妨害する仕掛けをいくつか用意するということが重要だと言っているわけです。

 次の「故に敵佚すれば」は、敵が余裕を持てばということで、「能く之を勞し」というように、敵が非常に余裕綽綽でやっているとすれば、違う場所を戦地にして、あえてそちらのほうに移動させるとか、それから両方から挟み撃ちにするとか、両方あたふたと慌てさせるとか、そのようなことをして苦労させる、疲労させるということです。

 さらに「飽けば」、相手はもう食事をたっぷり取って、それで余裕綽綽というようになっていれば、「能く之を饑<う>ゑしめ」で、つまり兵糧攻めというものがありますから、兵糧をしばらくストップさせて相手が飢えるように持っていくということが、形勢を逆転させるポイントだといっています。

 そして「安んずれば」ですから、相手がどっかりと安定してじっと自軍を待ち受けているなどということがあれば、「能く之を動かす」と言っているように、そちらには進まずに全然違うところに進めということです。例えば、敵が本拠地から出てきて戦場に先に着いているとすれば、少々遠回りでも、その敵の留守している本陣を突くなどして動揺させるということです。いろいろな動揺策というものがありますが、それをする必要があるわけです。


●秀吉の「大返し」に隠されていた秘策


 さらに、敵に後れを取って、これから行ったのでは敵の待ち伏せを受けてしまうというときは、「其の趨<はし>らざる所に出で、其の意<おも>はざる所に趨る」で、要するに、そこで重要なのはその土地勘のある人をきちんと用意しておいて、そのような人に道案内をさせることが重要だといっているのです。

 それは日本の戦国時代などでも、戦地に一番精通した土地の人間をきちんと雇って、そういう人間に道案内をさせて、少々危険でもいいから、敵に後れを取らないように、敵より前に着くためには、道なき...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
【入門】日本仏教の名僧・名著~空海編(1)空海と最澄
空海と最澄の関係に大きな影響を与えた「密教」の位置づけ
賴住光子
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(1)因果関係とは何なのか
原因と結果の迷宮―因果関係と哲学
一ノ瀬正樹
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介

人気の講義ランキングTOP10
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(4)注目されるタスクベース・アプローチ
AIは「まあまあの技術」?…タスクベース・アプローチでわかること
宮本弘曉
ウェルビーイングを高めるDE&I(4)人的資本経営の核となるDE&I:後編
日本は不寛容な国か?完璧主義の弊害とDE&Iを進める必要性
青島未佳
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(3)占守島での「戦後の激闘」
ソ連軍に断乎反撃せよ…終戦後の占守島侵攻をなぜ撃破できたか
門田隆将
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(4)2段階の教育
プラトンが『ポリティア』で書いた2段階の教育論とは
中島隆博
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎