古事記・日本書紀と世界神話の類似
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
スサノオとオルフェイス、悲しみと歌でつながる男神の物語
古事記・日本書紀と世界神話の類似(2)詩の文化の共通点
鎌田東二(京都大学名誉教授)
日本神話とギリシア神話の類似点として、スサノオとオルフェイスという、夫(男)の神の存在が挙げられる。この2神はどのようなつながりがあるのか。スサノオの物語を通して、ギリシア神話との共通点をさらに挙げていく。(全10話中2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分41秒
収録日:2021年9月29日
追加日:2022年3月27日
≪全文≫

●スサノオとオルフェイスのつながり


―― さらにいうと、イザナギが穢れを払うということで体を洗い、そこでスサノオやアマテラスなど日本にとって非常に重要な神々が生まれてくるのもドラマチックな点ですね。

鎌田 穢れのあとの清らかさ、闇をくぐり抜けた先の光といったものがアマテラス、ツキヨミ、スサノオという女神、男神の誕生・顕現だったものですから、イザナギはその3人(3柱)の子どもを「三貴子(みはしらのうずのみこ:非常に尊い子ども)が生まれた」と言って特別な扱いをします。このスペシャルチルドレンが、日本における三体構造になるわけです。それぞれが日・月・海の神様になる。つまり、アマテラスは天(高天原)を支配する、ツキヨミは夜の国を支配する、スサノオは海の世界を支配することになって、世界を3つに分治させる。そうして、世界の統治の基本構造がそこで生まれてくるのです。「生」と「死」、そして「生」、と非常にドラマチックに循環的に展開していますね。

 ギリシア神話では、そういった世界創造、世界の変容といったものと結びつくわけではなく、オルフェウスとエウリュディケーの悲劇的な物語という形でひとまず終わっています。そして、オルフェウスは非常に悲しみのトラウマ、痛手を背負って、その後、悲嘆の中で生きていきます。オルフェウスは竪琴の名手です。

―― 加えて歌が非常にうまいということですね。

鎌田 そのあたりも、悲しみと歌がどう結びつくかということで、ここがオルフェウスとスサノオでつながるところなのです。

 どこがつながるかというと、スサノオは「天の詔琴」という琴を持っています。その所有者なのです。琴を弾いている場面は『古事記』の中では表現されませんが、持ち物として「3つの神宝」があります。
 
 スサノオの(6代あとの)子孫・オオクニヌシノカミ(その当時は「オオナムジ」といわれていました。他にも「アシハラノシコオ」など7つほど名前があり、いろいろな名前で呼ばれていました)が、先祖であるスサノオのもとへやってきます。「兄たちに2回も殺されてしまったので、なんとか助けてほしい」という思いでやってきたそのとき、スサノオは試練をいくつか与えます。オオクニヌシはその試練を乗り越えて、スサノオの娘・スセリビメと一緒に逃げて行きます。

 そのときに、スサノオの持ち物を奪って逃げるのですが、スサ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
『孫子』を読む :計篇(1)「戦わずして勝つ」の意味
「戦わずして勝つ」ことを唱える『孫子』が注目される理由
田口佳史
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠