世界神話の中の古事記・日本書紀
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「三部の本書」と『古語拾遺』の特徴と面白さに迫る
世界神話の中の古事記・日本書紀(9)四書四様の面白さ
鎌田東二(京都大学名誉教授)
長らく『日本書紀』が国家の公式文書であった一方、『古事記』が注目されるようになったのは江戸時代、本居宣長によってであるとされている。だが、『古事記』も『日本書紀』も、それ以前にも読まれていたのではないかと語る鎌田氏。そこで、「三部の本書」とよばれる古代の重要な文書『古事記』『日本書紀』『先代旧事本紀』に『古語拾遺』を加えた四書の特徴、その位置づけについて解説する。(全9話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分05秒
収録日:2020年10月5日
追加日:2021年6月2日
≪全文≫

●「三部の本書」『古事記』『日本書紀』『先代旧事本紀』の位置づけ


鎌田 『古事記』は本当に難しい。「あめつちはじめてひらけしとき」は、漢字だけで見ると「天地初発之時」となります。「天地初発」をどう読むかということだけで相当、研究者でも議論があります。「あめつちはじめてひらけしとき」、「あめつちはじめてひらくるところ」、「あめつちのはじめのとき」など、4通りにも5通りにも読み方がある。『古事記』を正確に読むことについても、一つ一つ細かく吟味していくと、とても議論が百出して、難しいところでもあるのです。

―― これはよく知られているように、今のように読めるようになったベースを本居宣長が作ったということですよね。

鎌田 はい。でも、『古事記』は本居宣長以前にも重要視されていた面もあります。中世の吉田神道をつくった立役者・吉田兼倶(よしだかねとも)がいます。吉田神社は春日大社の京都における勧請をした神社なので、タケミカヅチ、フツヌシ、アメノコヤネノミコト、ヒメガミという春日の神様を祀っています。それを祀っていた人々は卜部氏です。吉田神社を預かっていたので「吉田卜部」と言い、吉田の姓を名乗るようになっていきます。

 その卜部氏は、中臣・藤原氏の管轄にあったと思います。私は、もともと卜部氏と中臣氏は血筋も同じ、ほとんど同族であると思っています。だから、その同族である中臣氏も卜部氏も、『日本書紀』をきちんと読んできた。『日本書紀』を読む家だったのです。

―― それは読み方を相伝しているということですね。

鎌田 そうです。読み方も相伝しているし、読み方の注釈のようなものも伝えている。公式には中臣も卜部も、『日本書紀』を講読する家柄のラインにあったのです。

 その卜部氏が、古代に重要な文書が三つあった(「三部の本書」)と挙げています。その三部の本書とは、『古事記』『日本書紀』『先代旧事本紀』です。『古事記』『日本書紀』『先代旧事本紀』を三部の本書に挙げているわけですから、吉田氏、卜部氏が『古事記』をきちんと読んでいたことが分かります。そして同時に、『先代旧事本紀』も重要視していたことも分かる。もちろん『日本書紀』も持っていた。

 それに対して、「わが家にはこんな文書が伝わっていますよ」という、一種のオカルト文書を卜部氏は独自に創作し、偽書のような形で権威づけていき...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(3)国司と郡司のつきあい
郡司の妻たちと宴会!?……国司・大原真人今城へのはなむけの歌に記された「媚態表現」の真相と人心掌握術
上野誠
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男