世界神話の中の古事記・日本書紀
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藤原氏は『古事記』をサポートする家だったのではないか
世界神話の中の古事記・日本書紀(7)国家の正統性はどこにあるのか
鎌田東二(京都大学名誉教授)
『古事記』と『日本書紀』の違いの1つは、国譲りの記述にあると鎌田氏は言う。『古事記』では国譲りで壮大な物語が描かれ、『日本書紀』では非常にあっさりとした記述に留まる。その理由はいったい何だろうか。一国の歴史を考えるときには、文献も大事だが、いわゆる伝承として残っているもので考えることも大事だ。神社にまつわる物語に注目すると、国の正統性がどこにあるのかが見えてくる。(全9話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分12秒
収録日:2020年10月5日
追加日:2021年5月19日
≪全文≫

●『古事記』になく『日本書紀』にある伝承


―― 基本的に『日本書紀』の場合はカットだけなのですか。『日本書紀』には「一書に曰く」といったいろいろな表記があるということですが、『古事記』の出雲神話の部分はカットされるとともに、他に入ってくる要素はあるのでしょうか。

鎌田 『古事記』になくて、『日本書紀』にのみある伝承もあります。『古事記』とは一つの家の立場を膨らませて、面白く物語化したという側面があります。対して『日本書紀』は、できるだけ公平に、バランス良く、いろいろな家々の伝承を取り込んでいる。

 そういった中で、『古事記』にはない非常に重要な伝承は、国づくりは基本的にオオクニヌシがスクナヒコナノカミと行ったというものです。そのスクナヒコナノカミが常世の国へ去っていった。ここまで、『日本書紀』では「一書に曰く」の中に同じような内容が語れています。

 そのときに、亡くなって落胆しているオオナムチノカミ(オオナムチ=オオクニヌシ)の前に、海上に光り輝く神秘的なものが現れる。スクナヒコナノカミのいない喪失感を抱えているオオナムチを前に、その光るものが「我はおまえの幸魂・奇魂(さきみたま・くしみたま)」と言うわけです。

―― 幸魂・奇魂はどのような意味なのですか。

鎌田 幸魂・奇魂とは、「さき」は幸福の幸、「くし」は奇妙の奇です。つまり、非常に不思議な、怪しい、神秘的な、そして豊かな力をもたらす御霊の働きということです。荒魂・和魂(あらみたま・にぎみたま)という言い方は、それ以前からいろいろな形でありました。

―― これは「荒々しさ」と「平和的なもの」ですね。

鎌田 恵みをもたらす平和的なものと、破壊的なものです。スサノオは両方を極端に持っていますね。荒魂と、そして和歌を詠うような賑々しいものを持っている。

 例えば出雲の場合、国づくりをして豊かになるわけです。国づくりで多様なものを生み出す神秘力を持っているからです。『古事記』では、その国譲りの具体的なディテールを語ることになります。

『日本書紀』の場合は、それを「幸魂・奇魂が現れた」という形で、それを「大和の三諸の山(三輪山)に祀れ」と言う。そして大和に祀り、それを宮中の皇室の守護神のような役割に位置づけていく。

 つまり出雲的なものが、天から下りてくるアマテラスオオミカミ(アマテラス)の子孫と...

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