世界神話の中の古事記・日本書紀
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『古事記』をめぐる謎…仏教の記述ゼロ?偽書説の真実は?
世界神話の中の古事記・日本書紀(8)『古事記』の信憑性
鎌田東二(京都大学名誉教授)
『古事記』を読むと、冒頭の壮大なストーリー性に比べ、崇峻天皇や推古天皇などの記述が少ないなど当時の現代史に関しては非常に手薄になっている。ある意味で、非常に不思議なアンバランスさである。また、『古事記』は偽書説も唱えられ、論議に論議を呼んでいる。鎌田氏は、序文偽書説には根拠があるが、『古事記』全文が偽書とは思わないという。果たして、その根拠とは?(全9話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分01秒
収録日:2020年10月5日
追加日:2021年5月26日
≪全文≫

●当時の現代史が異様に薄い『古事記』


鎌田 『日本書紀』では、神武天皇が巻の三に登場するに至ります。そして神武天皇から持統天皇までの天皇の歴史を編年体で年代記的に書いていく。そして持統天皇の時代に近づけば近づくほど、緻密に詳しくなっていきます。

『古事記』の中には、仏教の「ブ」の字も出てきません。儒教がやってきたことや、『論語』が日本に入られたことは、少し書かれている。仏教が日本に入ってくることはとても重要なことです。

『古事記』は女帝・推古天皇で終わります。推古天皇のときは、聖徳太子が摂政となり、聖徳太子のおじいさん、推古天皇からすればお父さんに当たる欽明天皇の時代に仏教が入ってきたことなります。欽明天皇、その息子であり聖徳太子のお父さんでもある用明天皇、聖徳太子のおばさんである推古天皇の時代は、仏教が非常に重要な時期です。ところが、仏教について記述は一切ありません。

『古事記』の近代史における最大の出来事は、仏教が入ってきて、日本が徐々に仏教化したというプロセスです。それを『古事記』は、故意に隠していることになります。

『古事記』は頭でっかちで尻すぼみと言いますか、神話的な物語は非常に量が多いのだけれど、(『古事記』にある)最後の天皇・推古天皇になると、文庫本『古事記』(倉野憲司校注/岩波文庫)では、漢字だけで記述されていた推古天皇の記録は、1行半もありません。

―― なるほど。その漢字での記述ではということですね。

鎌田 その前の崇峻天皇は、たった1行です。聖徳太子のお父さんに当たる用明天皇の場合は4行です。

 このように『古事記』は急激にしぼんでいるのです。これはあまりにもバランスを欠いた書き方です。冒頭のほうであれほど豊かに神々の物語を書いているのに、実際に推古天皇はとても大事な天皇の時代にもかかわらず、わずか1行少しで収めている。ここでさまざまな出来事が起こったにもかかわらず、です。

 そして、『日本書紀』では聖徳太子という重要な人物が出たことが本当に詳しく書かれているにもかかわらず、『古事記』では一切カットされている。『古事記』と『日本書紀』を比べると、出雲を縮小した『日本書紀』、現代史を縮小した『古事記』で、どちらもバランスを欠いているのです。

―― 書物の目的がそもそも違うということで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(24)「皇室典範改正」を考える
【10minで考える】「皇室典範改正」社会の空気をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
中国春秋戦国時代と始皇帝(6)秦の恵文王、昭王、荘襄王の時代
秦による中国統一への道…恵文王、昭王、荘襄王が行なったこと
鶴間和幸
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(2)在留邦人の生命財産を保護する決断
武装解除の「厳命」を守るか、戦って在留邦人の「生命」を守るか
門田隆将
老子の神髄(8)『老子道徳経』「辯德第三十三」
「死して亡びざる者は壽なり」…主体的に生きなければ自由はない
田口佳史
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
天皇のあり方と近代日本(4)三島由紀夫VS東大全共闘
「人間天皇」を否定した三島由紀夫の思想が問うものとは
片山杜秀
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(2)『太平記』の複雑な成立過程
後醍醐天皇の鎮魂物語だった『太平記』改訂の秘密
兵藤裕己