世界神話の中の古事記・日本書紀
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『日本書紀』に見る日本の忖度文化の原型
世界神話の中の古事記・日本書紀(3)談合の国の「史書」と「秘書」
鎌田東二(京都大学名誉教授)
オペラ的な物語性のある『古事記』に対し、記録的な性質の『日本書紀』。この『日本書紀』を見ていくと、さらに”日本らしさ“が浮かび上がってくる。鎌田東二氏が「日本の忖度文化の原型」「談合」と述べる『日本書紀』の性質とは。(全9話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分19秒
収録日:2020年10月5日
追加日:2021年4月14日
≪全文≫

●『日本書紀』の時代から日本は談合の国だった


―― 前回おっしゃったように、『日本書紀』の中には、『古事記』の神様も「一書に曰く」という形で入り込んでいますね。

鎌田 『日本書紀』は、いろいろなものをうまく抱き込んでいるのです。『古事記』をうまく懐の中に入れ込んでいる。実に巧妙な手口です。『古事記』の伝承もうまくその中に溶け込ませている。恐らく『古事記』を伝承している家でも、中心をなすような家々があったと思います。

―― 豪族によって信じている神様が違うということですか。

鎌田 家ごとに伝わる伝承が若干違うということはあり得ます。例えば、川上家と鎌田家があるとすれば、それぞれの家々で、自分の家の先祖の神様が活躍する話によりアクセントを付けたいでしょうから、より立派になっているはずです。そのように、それぞれの豪族(氏族)、その家々の物語があった。そして、『古事記』を伝えている家柄の物語もあった。でも、それは「one of them(多くの中の1つ)」です。その「them」の中のいろいろなものをうまく案配しなければいけない。要するに、日本は最初から談合の国なのです。

―― 談合の国(笑)。

鎌田 そう、『日本書紀』の時代から談合の国ですね。A建設、B建設、C建設などさまざまな企業が談合で出てくる。そういった取捨選択、あるいは格付において絶妙に配慮が行き届いて、忖度しているといった具合です。だから、『日本書紀』は日本の忖度文化の原型ではないかと思います。

―― 国家の形がそこからも分かるわけですね。いわゆる独裁的な王権があったのではなく、連合王権のような国として成立してきたということが分かりますね。

鎌田 秦の始皇帝のような絶対的な権力者であったら、このような曖昧なものを読んだら烈火の如く怒って、「こんなもの」と言って破り捨てたと思います。ところが、日本では、『古事記』時代の元明天皇や、その後の元正天皇、聖武天皇といった天皇たちは、国家文書である『日本書紀』を受け入れて、かつそれが日本の公文書である『六国史』の筆頭として、宮中や当時の知識人たちの中で何度も講読されているのです。

『古事記』にはそういった国家的な意思、国家的なプロジェクトとして講読された、解読されたという記録は一切ありません。だから、本当に民間の伝承なのです。

―― どちらかというと、私書というイメージで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
人生に活かす東洋思想(1)人生の成功とは何か
東洋思想の「徳」や「道」をわかりやすくいうと?
田口佳史
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
現代の小児科学と最高の子育て(1)現代の小児科学の役割
困難の克服と幸せな人生の獲得、それが小児科学の目的
高橋孝雄
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
江戸とローマ~日本酒とワイン(2)ローマの酒文化とファストフード
ポンペイのファストフード店、遺跡が物語るローマの酒文化
本村凌二
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀