弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
縄文文化と弥生文化を分ける「4つの文化説」に迫る
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(2)「4つの文化説」で考える弥生文化
藤尾慎一郎(国立歴史民俗博物館 名誉教授/総合研究大学院大学 日本歴史研究専攻 名誉教授)
縄文文化や弥生文化の区分は日本全体で一枚岩ではない。特に沖縄と北海道といった独自の文化を築いた地域はその区分には当てはまらず、また本州も地域ごとに異なる区分を持つ可能性がある。今回はこれまでの3つの文化説に対して新たに提唱されている「4つの文化説」からその詳細をひもとき、各地の出土品を見ながら史料のダイナミックな動きを解説していく(全11話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分36秒
収録日:2024年7月29日
追加日:2025年3月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●3つの文化説と4つの文化説…判断材料は水田稲作だけ!?


藤尾 結局、九州、それから中四国(編注:中国地方と四国地方を合わせた地域)、本州にいる人たちは、(時代区分を)旧石器、縄文、弥生、古墳というように小学校の6年間でだいたい習いますけれど、沖縄と北海道に関してはそうではないわけです。

藤尾 北海道の場合は、縄文時代から続縄文文化となって、その後、擦文文化、それからアイヌ文化と、縄文以降、別の文化になっていきますし、沖縄の場合も、琉球王朝ができるぐらいまでは基本的に採集狩猟の生活が続きますので、弥生時代とか、古墳時代はなくて、貝塚時代という言い方をしているのです。貝塚が非常に特徴的なものですから。

 ですので、いわゆる本土、北海道と沖縄を除く、九州、中四国、本州というところで弥生文化が広がっていった時代には、北海道には続縄文文化がありました。それから、沖縄には貝塚後期文化がありました。これがいわゆる通説なのです。それがこの(スライド内の)下にあります「3つの文化説」です。

 それに対して、私は「本州、四国、九州は1つの弥生文化と括っていったのですけれど、実は本州のどこか、(例えば)北のほうは別の文化ではないのか」(と考えました)。ここでは「北の水田稲作文化」という書き方をしていますが、それで「4つの文化説」を唱えているのです。

―― それは何が違うのですか。

藤尾 逆にいうと、共通しているのは水田稲作をやっているということだけなのです。

―― なるほど。

藤尾 でも、東北の北部とか、それから利根川より北の地域になるのですけれど、こういうところでは、まず金属器、特に青銅器文化ですが、青銅器を対象とした文化、(例えば)お祭りだとか、いろいろなものが今のところ基本的には見えないということと、農耕社会といわれているものが本当に成立しているのか成立していないのかということがよく分からないのです。それから、西日本のほうで特徴的な、例えば戦いの存在だとか格差の存在などもよく見えない地域なのです。

 ですから、水田稲作という生業のベースは一緒なのですけれど、そこを基本にして社会が変化していく、それから精神的な部分、祭祀的な部分が変化していくという、その2つの部分が見えない、あまりよく分からないのが、この北の水田稲作文化と...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦国合戦の真実(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代の兵の動員とは?…無視できない農民の事情
中村彰彦
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(2)民意は本当に反映すべきか
デモクラシーとエリート主義の限界…立憲主義と共和主義
齋藤純一
独裁の世界史~ローマ編(2)見識を育んだ「父祖の威風」
ローマが見識を磨いていくために重視した「父祖の威風」
本村凌二
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
医療から考える国家安全保障上の脅威(1)「非対称兵器」という新たな脅威
フェンタニルの麻薬中毒も意図的な戦略?非対称兵器の脅威
山口芳裕
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎