弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
現代日本人の中に縄文遺伝子!? 弥生人の核ゲノムで判明
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(8)弥生人の核ゲノム
藤尾慎一郎(国立歴史民俗博物館 名誉教授/総合研究大学院大学 日本歴史研究専攻 名誉教授)
渡来系弥生人のルーツを分析していくと、朝鮮半島ですでに混血していた人が渡ってきた可能性が高い。ただ、不思議なことにその痕跡が九州や近畿を飛ばして名古屋近郊の朝日遺跡で検出されている。その他にも、日本列島に渡ってきた渡来人は階級が下の人間だった可能性など、弥生人の核ゲノムについて、DNA分析を進めることで浮かび上がってきた、さまざまな興味深い仮説を解説する。(全11話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分50秒
収録日:2024年7月29日
追加日:2025年5月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●明らかにされつつある渡来系弥生人のルーツと朝日遺跡の不思議


藤尾 そこで二重構造説の見直しというものが出てくるのですが、左側の図のいちばん左側が従来の説で、100パーセント大陸でした。それと100パーセント縄文(の人)が結婚して、そして子どもができるのが渡来系弥生人だというのがもともとの説なのですが、実はもう3000年以上も前から、朝鮮半島ではそういう人たちがいたのだ、日本側のどういう人たちと交雑、(つまり)結婚することによってどういう人たちが生まれるのかというのもいろいろなパターンがあるのだ、というのが最近明らかになってきたということです。

―― ですから、先ほどの朝日遺跡の方などは、もしかすると全て朝鮮から渡ってきた人かもしれないということになるのですか。

藤尾 その可能性ももちろんDNA的にはあるのですが、ただ考古学的には考えづらいのです。

―― それはどうしてですか。

藤尾 直系の人が名古屋まで、近畿や九州を通らずに行くということがあり得ないのです。

―― なるほど。

藤尾 そうすると、どういうことかというと、やっぱり九州北部に入ってきた人たちがだんだんと、300年をかけて名古屋地域にたどり着いたとしか、おそらく考えられないのです。

 そうすると、どういうことになるかというと、当然、300年の差がありますから、最初に九州に入ってきた人がずっと300年生きていて移動したわけではないでしょう。(つまり)当然その子孫が…。

―― 移動してきたと。

藤尾 そうすると、その子孫ができていく過程で、それぞれの地域で、例えば広島だとか、岡山だとか、近畿で地元にいた縄文系の人たちとまったく交わっていないということであるわけです。その直系の人たちだけが、ずっと直系の子孫を作っていったのが朝日遺跡の人ということになるので、可能性としては「本当なの?」というような話になってきてしまうわけです。

―― そうですね。ちょっとそれは不思議な感じですね。

藤尾 右側の図は、これまでの話を図にしたものです。

 長江下流域の人も、もしかしたら北上して、朝鮮半島で混血していて、そういう人たちが日本列島に入ってきたのではないかという話だとか、西遼河系はアムール系と黄河系から出来上がった人たちで、その人はもともとアワ・キビ栽培をやっている人たちな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
逆境に対峙する哲学(3)修行・物語・語りの転換
武士道に学ぶ自己訓育――幻想としての順境に抗するために
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎