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イヌ、ネコ、ニワトリ…弥生時代の役割と縄文時代との違い

弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(10)弥生人と動物

藤尾慎一郎
国立歴史民俗博物館 名誉教授/総合研究大学院大学 日本歴史研究専攻 名誉教授
概要・テキスト
われわれにとって馴染み深いイヌやネコなどの動物。縄文時代や弥生時代は、その役割、位置づけはどうなっていたのか。また、現代との違いはどこにあるのか。出土品から見えてくる動物との関係について、当時の食生活にも触れながら迫っていく。(全11話中第10話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:44
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/21
カテゴリー:
キーワード:
≪全文≫

●縄文時代と弥生時代で異なるイノシシの種類


藤尾 ここから食べ物の話なのですけれど、海産物についてはそれほど縄文とあまり変わりません。

―― そうでしょうね。

藤尾 面白いのは、大阪ではタコツボがいっぱい出るのです。

―― タコツボ。

藤尾 それでイイダコを取るのです。昔から好きだったのですね。

―― そうですね。明石といえば、でございますけれど。

藤尾 例えば動物です。ヤヨイブタという、これは一見イノシシに見えるのですけれど、最初に入ってきた豚は、こういうイノシシに非常に似ているものではないかといわれています。

―― これは、日本古来の野生のイノシシを飼い慣らしたのではないのですか。

藤尾 そうではなくて、外から来ているというところが、DNAから(分かりました)。

―― そうなのですね。

藤尾 ここに書いてありますけれど、実際にDNAで見つかっています。

―― なるほど。

藤尾 しかもそのイノシシも、縄文人が飼い慣らしているイノシシと弥生人が使っているイノシシとは、どうもオス・メスの違いだとか、年齢層、幼獣・若獣の比率に違いがあるそうです。ですから、縄文人のイノシシの飼い方も違うし、当然、豚も入ってきているということです。

―― これは当然食用ということですね。

藤尾 そうですけれど、肉食自体は引き継がれていないのです。

―― そうですね。

藤尾 だから、どこかで消えてしまうのです。

―― たしかに。


●弥生人はイヌを食べていた


藤尾 次がイヌですね。イヌにはちゃんと縄文犬と弥生犬というものがいて、左側は弥生犬の復元です。(そして)右側が先ほど出てきた青谷上寺地遺跡から出てきたイヌの頭の骨です。(そのうちの)右側が在来の縄文犬で、左側が新しく入ってきた弥生犬です。何が違うか。おでこから鼻にかけてが違うのです。

―― おでこの出方が違いますね。

藤尾 角度違うでしょう。

―― 違いますね。

藤尾 縄文犬のほうが緩やかなのです。弥生犬は角度がある。それから、これもDNAが最近進んでいまして、この左側の復元ですが、柴犬みたいな茶色系でしょう。実は縄文犬は狼に近い灰色だということが分かってきたのです。

―...
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