●縄文時代と弥生時代で異なるイノシシの種類
藤尾 ここから食べ物の話なのですけれど、海産物についてはそれほど縄文とあまり変わりません。
―― そうでしょうね。
藤尾 面白いのは、大阪ではタコツボがいっぱい出るのです。
―― タコツボ。
藤尾 それでイイダコを取るのです。昔から好きだったのですね。
―― そうですね。明石といえば、でございますけれど。
藤尾 例えば動物です。ヤヨイブタという、これは一見イノシシに見えるのですけれど、最初に入ってきた豚は、こういうイノシシに非常に似ているものではないかといわれています。
―― これは、日本古来の野生のイノシシを飼い慣らしたのではないのですか。
藤尾 そうではなくて、外から来ているというところが、DNAから(分かりました)。
―― そうなのですね。
藤尾 ここに書いてありますけれど、実際にDNAで見つかっています。
―― なるほど。
藤尾 しかもそのイノシシも、縄文人が飼い慣らしているイノシシと弥生人が使っているイノシシとは、どうもオス・メスの違いだとか、年齢層、幼獣・若獣の比率に違いがあるそうです。ですから、縄文人のイノシシの飼い方も違うし、当然、豚も入ってきているということです。
―― これは当然食用ということですね。
藤尾 そうですけれど、肉食自体は引き継がれていないのです。
―― そうですね。
藤尾 だから、どこかで消えてしまうのです。
―― たしかに。
●弥生人はイヌを食べていた
藤尾 次がイヌですね。イヌにはちゃんと縄文犬と弥生犬というものがいて、左側は弥生犬の復元です。(そして)右側が先ほど出てきた青谷上寺地遺跡から出てきたイヌの頭の骨です。(そのうちの)右側が在来の縄文犬で、左側が新しく入ってきた弥生犬です。何が違うか。おでこから鼻にかけてが違うのです。
―― おでこの出方が違いますね。
藤尾 角度違うでしょう。
―― 違いますね。
藤尾 縄文犬のほうが緩やかなのです。弥生犬は角度がある。それから、これもDNAが最近進んでいまして、この左側の復元ですが、柴犬みたいな茶色系でしょう。実は縄文犬は狼に近い灰色だということが分かってきたのです。
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