感染症予防・がん治療に使えるmRNAワクチン
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なぜmRNA医薬が最近、注目されるようになったのか
感染症予防・がん治療に使えるmRNAワクチン(2)タンパク質医薬とmRNA医薬
内田智士(東京科学大学 難治疾患研究所 教授 /京都府立医科大学 大学院医学研究科 特任教授 )
生命現象の中核を担っているタンパク質。それは医療の分野でも注目を集めており、現在では世界の医薬品売上の上位ほとんどをタンパク質医薬が占めている。しかし、優れた特徴をもつタンパク質医薬にも多くの課題がある。今まさに研究が進んでいるmRNA医薬はそうした課題を解決し、より安全で効果的な治療を実現する可能性を秘めている。(全5話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分15秒
収録日:2021年4月13日
追加日:2021年6月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●タンパク質医薬の優れた特徴


―― 続きまして、タンパク質がどのように身体に働いていくのか、またその詳しいメカニズムについて教えていただきたいと思います。

内田 はい。こちらですね。


 このタンパク質は特定のタンパク質とだけ相互作用する特徴を持っています。ここで青、赤、黄、緑という4種類のタンパク質があったとします。この青のタンパク質は、赤や黄のタンパク質とはあまり形が合わないので、安定に結合していることはできません。しかし、この緑のタンパク質とはちょうど形が合っていて、フィットします。したがって、緑のタンパク質とだけ安定に相互作用します。このように、特定のタンパク質とだけ相互作用ができる点は、生命機能を維持する上でも重要であり、医薬品としても優れた特長です。

 例えば、こうして緑のタンパク質のような特定のタンパク質とだけ相互作用することによって、緑のタンパク質が実際に担っている生体内のプロセスにちゃんと介入することができます。また、他の意図しないタンパク質とは相互作用しないので、副反応も起きないと考えられます。

 では従来の医薬品はどうだったかというと、実は「低分子薬剤」といって、タンパク質よりもっと小さい分子が薬として用いられていました。こういった小さい分子を使うと、さまざまなタンパク質にくっついてしまうので、高度な機能を担うことはできず、副反応が起きてしまう懸念もあります。


●タンパク質医薬の歴史



内田 このタンパク質医薬の歴史について簡単に説明します。タンパク質医薬は1980年代初頭にインスリン製剤が実用化されたのを皮切りに、特に2000年以降、「抗体医薬」というのが、がんやリウマチなど、さまざまな病気に対して応用されるようになりました。今やこの抗体医薬は現在の医療になくてはならないものです。

 右上に実際の世界医薬品売上上位トップ10を示しています。そのうち、なんと7品目がこのようなタンパク質医薬という状態です。ただ、このタンパク質医薬にはまだまだ問題があります。

 製造や精製の過程が非常に煩雑で、そのために経済的コストがかかる他、そうして高いお金をかけて実際投与しても、ヒトに投与すると速やかに代謝されて、効果が消失することが挙げられます。

 さら...

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