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オートファジーを蛍光顕微鏡で確認!栄養飢餓状態で活発に

オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(2)プロテアソームとオートファジー

水島昇
東京大学 大学院医学系研究科・医学部 教授
概要・テキスト
細胞内のタンパク質を分解する仕組みには、タンパク質を個別に選択して分解するユビキチン・プロテアソームという方法と、ある領域のタンパク質を丸ごと分解するオートファジーという方法の2つがある。両者の具体的な仕組みや違いはいったいどのようなものなのだろうか。オートファジーを中心に、具体的な研究例を見ながら解説していく。(全5話中第2話)
時間:14:03
収録日:2023/12/15
追加日:2024/03/24
≪全文≫

●個別分解「プロテアソーム」の仕組み


 まずは個別分解のほうから話を進めていきたいと思います。

 これは先ほどの個別分解とバルク分解をもう少しきちんと絵に描いてあるものです。上がバルク分解であるオートファジーで、下が個別分解であるユビキチン・プロテアソーム系というものです。実は、この2つの分解系の研究は日本人の研究者がどちらも非常に活躍しているというのが特徴です。

 まず、下のユビキチン・プロテアソーム系を先にお話しいたします。この分解装置は「プロテアソーム」という樽型の形をして、中に空洞があるタンパク質の複合体となります。このプロテアソームは、特別、特定のタンパク質だけを個別に認識して分解することができるのですけれど、それはなぜかというと、分解するべきタンパク質にユビキチンという小さなタンパク質の標識がこのようにつきます。

 このユビキチンがいくつかついているタンパク質があると、それが分解の標識になります。すなわちプロテアソームはユビキチンを認識し、結果的にはユビキチンのついたタンパク質だけを選択的に分解することができます。このようにして、プロテアソームは非常に選択性の高い分解を行っているわけです。

 このプロテアソームを発見されたのは、現在、東京都医学総合研究所の理事長でいらっしゃる田中啓二先生です。田中先生が事実上、プロテアソームを発見されたことになります。

 プロテアソームの話ですが、あとはどのようなタンパク質を分解するかという個別なことになっていきますので、今回はここで省略いたしまして、残りはオートファジーのほうへと話を進めていきたいと思っております。


●タンパク質をリサイクルさせる「オートファジー」の仕組み


 では、ここからはオートファジーについて、主にご説明していきたいと思っております。

 まずオートファジーがどういうものか、ということです。細胞の絵が描いてありますけれど、先ほどお話ししましたように、細胞の中というのは、このように水っぽいところでなくて、満員の人がいるようなプールというイメージをぜひお持ちいただきたいと思います。

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