オートファジー入門~細胞内のリサイクル~
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
オートファジーを蛍光顕微鏡で確認!栄養飢餓状態で活発に
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(2)プロテアソームとオートファジー
健康と医療
水島昇(東京大学 大学院医学系研究科・医学部 教授)
細胞内のタンパク質を分解する仕組みには、タンパク質を個別に選択して分解するユビキチン・プロテアソームという方法と、ある領域のタンパク質を丸ごと分解するオートファジーという方法の2つがある。両者の具体的な仕組みや違いはいったいどのようなものなのだろうか。オートファジーを中心に、具体的な研究例を見ながら解説していく。(全5話中第2話)
時間:14分03秒
収録日:2023年12月15日
追加日:2024年3月24日
≪全文≫

●個別分解「プロテアソーム」の仕組み


 まずは個別分解のほうから話を進めていきたいと思います。

 これは先ほどの個別分解とバルク分解をもう少しきちんと絵に描いてあるものです。上がバルク分解であるオートファジーで、下が個別分解であるユビキチン・プロテアソーム系というものです。実は、この2つの分解系の研究は日本人の研究者がどちらも非常に活躍しているというのが特徴です。

 まず、下のユビキチン・プロテアソーム系を先にお話しいたします。この分解装置は「プロテアソーム」という樽型の形をして、中に空洞があるタンパク質の複合体となります。このプロテアソームは、特別、特定のタンパク質だけを個別に認識して分解することができるのですけれど、それはなぜかというと、分解するべきタンパク質にユビキチンという小さなタンパク質の標識がこのようにつきます。

 このユビキチンがいくつかついているタンパク質があると、それが分解の標識になります。すなわちプロテアソームはユビキチンを認識し、結果的にはユビキチンのついたタンパク質だけを選択的に分解することができます。このようにして、プロテアソームは非常に選択性の高い分解を行っているわけです。

 このプロテアソームを発見されたのは、現在、東京都医学総合研究所の理事長でいらっしゃる田中啓二先生です。田中先生が事実上、プロテアソームを発見されたことになります。

 プロテアソームの話ですが、あとはどのようなタンパク質を分解するかという個別なことになっていきますので、今回はここで省略いたしまして、残りはオートファジーのほうへと話を進めていきたいと思っております。


●タンパク質をリサイクルさせる「オートファジー」の仕組み


 では、ここからはオートファジーについて、主にご説明していきたいと思っております。

 まずオートファジーがどういうものか、ということです。細胞の絵が描いてありますけれど、先ほどお話ししましたように、細胞の中というのは、このように水っぽいところでなくて、満員の人がいるようなプールというイメージをぜひお持ちいただきたいと思います。


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
夜間頻尿の原因とその予防方法
夜間頻尿になりやすい人の特徴とその対策
堀江重郎
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
腸内細菌の可能性とマイクロバイオームのダイバーシティ
注目は納豆!腸内細菌が生成する若返り物質「ポリアミン」
堀江重郎
1分チャージ! 新・エクササイズ理論
たった1分で効果を上げる新運動理論と攻めのダイエット
堀江重郎
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治

人気の講義ランキングTOP10
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(2)イノベーションとプロセスの質
「プロセスの質」こそがイノベーションの結果を決める
遠山亮子
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
不便益システムデザインの魅力と可能性(7)不便益の意義と発想方法
「のらカフェ」は「不便益×食」から生まれたアイデア
川上浩司