オートファジー入門~細胞内のリサイクル~
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
酵母がきっかけ、オートファジー研究とノーベル受賞への道
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(4)オートファジー研究の発展
水島昇(東京大学 大学院医学系研究科・医学部 教授)
オートファジー研究は、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏による「出芽酵母」への着目によって飛躍的に進展することになった。パン酵母である出芽酵母を用いることが、オートファジー研究において、いったいどのように画期的だったのだろうか。今回はその研究史を中心に見ていこう。(全5話中第4話)
時間:12分45秒
収録日:2023年12月15日
追加日:2024年4月7日
≪全文≫

●遺伝学の導入によって進んだオートファジー研究


 では、ここからは、いったいオートファジーがどのような仕組みによって起こっているかということについて話を進めていきたいと思います。

 オートファジーは1960年頃に発見されたといわれていまして、当初は、先ほどのように電子顕微鏡を使った実験、あるいは細胞をすり潰して、それを生化学的に解析するような研究が中心にやられていました。ところが、1980年代になりますと、選択的分解経路であるユビキチンやプロテアソーム系というものが発見され、そちらの研究は非常に進んでいきました。実際、研究者の多くもオートファジーからユビキチンのほうに流れていったのではないかと思います。

 ところが、オートファジーの研究のほうにも、1990年に入ると遺伝学が導入されて、それをきっかけにオートファジーの研究は今、非常に大きく展開をしている状況です。

 この遺伝学ですけれど、スライドに示すような多くのモデル生物が、生命科学の研究にこれまで多大な貢献をしてきました。例えば、細胞周期という、細胞が分裂するような研究には原核生物である大腸菌とか、非常に単純な単細胞真核生物である酵母などが活躍しましたし、細胞腫の研究には線虫が、あるいは自然免疫の研究ではショウジョウバエという昆虫がとても活躍したわけです。

 オートファジーも、実はこのモデル生物が非常に貢献をしたのですけれど、その生物は「出芽酵母」という生物です。


●出芽酵母の細胞を使いオートファジーに必要な遺伝子をあぶり出した


 2016年、ノーベル賞をとられた大隅良典教授ですけれども、大隅先生はこの非常に単純な、パンを作るパン酵母である出芽酵母にもオートファジーの仕組みがあるということを発見して、1992年に報告をされています。

 酵母におきましても、やはり飢餓状態になると細胞の中にオートファゴソームができます。酵母はリソゾームの代わりにもっと大きい液胞という分解のための小器官を持っていまして、オートファゴソームはこの液胞と融合します。そうしますと、オートファゴソームの中身は液胞の中に入っていって、そこで速やかに分解...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡
睡眠:体、脳、こころの接点(1)睡眠とは?
なぜ睡眠は生きるために必要?脳にある覚醒中枢と睡眠中枢
尾崎紀夫
腸内細菌の可能性とマイクロバイオームのダイバーシティ
注目は納豆!腸内細菌が生成する若返り物質「ポリアミン」
堀江重郎
歯科の健康づくり(1)「噛める」ようになると人が変わる
噛み合わせや歯の健康が人間の健康にとっていかに大事か
河原英雄
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(3)孤食リスクと加齢に伴うホルモン変化
「孤食」が危ない…独身男性の一人の食事はうつのリスク2倍以上に
小川純人
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
東横インに学ぶ「女性活躍」の秘策(1)女性支配人が支えるホテル
東横インは97%が女性支配人!女性活躍のきっかけとは
黒田麻衣子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨