テロメアから考える「アンチエイジング」
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
堀江重郎(順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器科学 主任教授)
近年、老化を遅らせたり、老化した細胞を若返らせたりする「アンチエイジング」に関する科学的な研究が盛んに行われている。そのカギとなるのが「テロメア」と呼ばれる染色体の末端にある構造である。テロメアの長さと老化や疾患にはどのような関係があるのか。(全2話中第1話)
時間:15分00秒
収録日:2022年1月27日
追加日:2022年3月24日
≪全文≫

●老化した細胞を若返らせることは科学的に可能である


 皆さん、こんにちは。順天堂大学の堀江重郎と申します。

 今日は「アンチエイジング・メソッド」ということで、最近話題になっているアンチエイジングについて、医学的な側面からお話しさせていただきます。

 アンチエイジングというと、加齢に伴って起きた変化を元通りにする、あるいは加齢の変化が起きないようにすると思われている方が非常に多いのではないかと思います。

 いわゆる若返りとは、いったん加齢の変化を受けた、あるいは、言葉が悪いのですが、老化した組織が元に戻ることです。実験動物においては、これはすでに可能であることが分かっています。数学になぞらえて言うと、「解答が得られている」、あるいは、われわれの言葉で言うと、「問題が解かれている」という状況にあります。

 2014年に非常に画期的な学術論文が発表されているのでご紹介したいと思います。非常に簡単な実験です。実験動物のネズミはたくさんの種類がいますが、一つの種類においては、だいたい遺伝子が一緒なので、例えば臓器移植をしても、拒絶をされることはありません。つまり、ほとんどクローン動物に近い状態で飼育することができるようになっています。

 その実験動物のネズミのうち、歳を取ったネズミと若いネズミの2匹を並べて、その皮膚をガチャンとホチキスで繋いでしまいます。そうすると、毛細血管がくっつくことによって、若いネズミと歳を取ったネズミの血液が交通することになります。

 若いネズミに比べたときの、高齢のネズミの特徴の一つ目として、筋肉が痩せてきます。二つ目に、匂いを感じなくなります。匂いの神経は、脳神経の末端であり、脳神経の一部で、匂いを感じなくなることは、脳神経が加齢に伴って退縮していくことだと思います。三つ目に、血液の流れも悪くなります。

 この三つが高齢のネズミの大きな特徴になっているのですが、面白いことに、若いネズミとくっつけたネズミ(高齢のネズミ)においては、神経が再生してきて、匂いを感じるようになります。また、筋肉が再び盛り上がってきます。そして、血管がより豊富になって、血液の流れが良くなってくるという結果が見られました。

 これは最初、若いネズミの中の身体にある、「幹細胞」という、いろいろな臓器に分化できる細胞が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇
最強の臓器「皮膚」のふしぎと最新医療(1)かゆみのサイエンス
「かゆみ」の正体を科学する!最新研究で迫る皮膚の仕組み
椛島健治
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
アンチエイジングのための「5:2ダイエット」
「5:2ダイエット」活性酸素を減らしてアンチエイジング
堀江重郎
腸内細菌の可能性とマイクロバイオームのダイバーシティ
注目は納豆!腸内細菌が生成する若返り物質「ポリアミン」
堀江重郎
驚異の味噌パワー
味噌で免疫力向上、がん抑制、放射能除去…発酵食品の効果
小泉武夫

人気の講義ランキングTOP10
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(5)プラントエンジニアの覚悟と死装束
俺たちが死んだら、次はお前だ。被害を俺たちで止めるんだ
門田隆将
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
ドンロー・ドクトリンの台頭(3)脱地政学論と日本への影響
ドンロー・ドクトリンの正体は脱地政学論…日本の進む道は
東秀敏
編集部ラジオ2026(4)門田隆将先生「Fukushima50」の真実
【10分解説】福島第一原発事故…吉田昌郎氏と現場の底力
テンミニッツ・アカデミー編集部
インフレの行方…歴史から将来を予測する(6)高市政権誕生の影響
ポイントは財政悪化よりインフレ?…高市政権でどうなるか
養田功一郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(4)外交力と防衛力の強化へ
求められる「能動的サイバー防御」、問われる本物の外交力
島田晴雄
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之