ナノテクノロジーでがんに挑む
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抗がん剤をナノマシンでいかにがん細胞に送り込むか?
ナノテクノロジーでがんに挑む(2)ナノマシンとは何か
片岡一則(ナノ医療イノベーションセンター センター長/東京大学名誉教授)
体内病院の実現に向けて注目されるナノマシン。ウイルスほどの非常に小さいサイズであるそれは、どのような仕組みと働きを持っているのか。また、体内に入れたとき、どんなことが重要になるのか。生体内外の「信号」を適切に検知し、それに応じた動きをする「スマートナノマシン」について解説する。(全8話中第2話)
時間:11分35秒
収録日:2021年5月12日
追加日:2022年3月5日
≪全文≫

●ウイルスサイズのナノマシン


 では、私たちのめざすナノマシンのサイズはどのぐらいなのかということです。ナノマシンの大きさはなかなかイメージがつかみにくいと思いますが、スライドにありますようにだいたい30ナノメートルで、1ナノメートルは10のマイナス9乗メートルです。

 そういってもなかなか分からないと思いますので、人が地球の大きさだとすると、ナノマシンはサッカーボールの大きさです。ですから、地球の上にあるサッカーボールが人の体の中にあるナノマシンだと思ってください。少したとえが悪いのですが、それがだいたいウイルスと同じぐらいのサイズです。冒頭にも申し上げたように、こんなに小さいものなので、分子を組み上げて作らなければいけません。

 そういうわけで、まずステップ1では、いろいろなナビ機能やセンサー機能、オペレーション機能を創り込んだレゴ分子を作ります。それを選択して、自動会合によって均質かつ多様なナノマシンを構築します。そうして、個人情報や疾患の多様性に対応したナノマシンによる診断と治療を行っていこうというものです。そのため、ウイルスサイズの超微細化、多様性に対応した機能の超集積化、分子情報に的確に応答する超精密化が目標になります。

 こうやって申し上げても、皆さんなかなかイメージがわかないと思います。その一つの例として、抗がん剤を搭載するナノマシンが分子の組み合わせでどうやってできているのかをこれから動画で示したいと思います。

※以下、動画より
《ナノカプセルの材料、水になじむ部分と水になじまない部分をもった高分子です。水になじまない部分に抗がん剤を結合させます。この分子を水に溶かすと薬が結合した部分は水を避けるように集まります。ミセルという二重の殻をもつ球形の高分子になります。水になじむ外側の殻は生体から拒否反応を受けず、内側の殻は薬をしっかり包み込みます。》

 ここで「ミセル」という言葉が出てきました。聴いている方の中に化学が専門の方がいるかもしれません。そういう方にとっては、ミセルというと、石けんのミセルかシャボン玉が思いつくと思います。ただ、石けんのミセルはすごく不安定ですが、これは高分子という分子量の...

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