ナノテクノロジーでがんに挑む
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
抗がん剤をナノマシンでいかにがん細胞に送り込むか?
第2話へ進む
ナノマシンによるがん治療…体内病院というイノベーション
ナノテクノロジーでがんに挑む(1)「iCONM」がめざす医療
片岡一則(ナノ医療イノベーションセンター センター長/東京大学名誉教授)
「iCONM(アイコン)」と呼ばれるナノ医療イノベーションセンターが2015年、川崎に誕生したが、羽田空港へのアクセスの良さなどから世界に開かれた研究施設として注目されている。ではiCONMがめざす医療とはどのようなものなのか。(全8話中第1話)
※冒頭インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分00秒
収録日:2021年5月12日
追加日:2022年2月26日
≪全文≫

●分子を組み上げて作る「ナノマシン」の仕組み


―― 今回の講義は「ナノテクノロジーで医療を切り拓いていく」という趣旨ですが、ひと言でいうとどのような講義ですか。

片岡 この表題の副題(体内で薬を運び、作り、操るナノマシンによるがんの標的治療)にもあるように、ナノテクノロジーを使って非常に小さなナノマシンを設計して体内に薬を運ぶ、あるいは薬を作り、病気を診断して治療する、そうしてがんを標的治療したいという話をしたいと思います。

―― ありがとうございます。最初にイメージをつかみやすくするために教えていただきたいのですが、この場合の「ナノマシン」は具体的にどういうイメージですか。

片岡 マシンというと、歯車を組み合わせたり、あるいは素材を切って作ったりするイメージが強いですね。あとでお話をしますが、ナノマシンはすごく小さいので、そういう方法では作れません。分子を組み上げて作ります。例えば、分子をレゴのような形で組み上げて、その中に薬を入れ、現在だとそうしてがんに送り込んで治療をする仕組みとして使われます。

―― ありがとうございます。では早速講義をよろしくお願いいたします。


●「iCONM」は世界に開かれた場所にある


片岡 それでは講義を始めたいと思います。実はタイトルスライドのバックにある建物が、私がこの研究をしているナノ医療イノベーションセンター、通称「iCONM」と呼んでいる建物です。どこにあるかというと、川崎市殿町にあります。非常に新しい研究センターなので、まずは簡単に、このセンターが一体何をやっているのか、どういったところにあるのかをお話をさせていただきたいと思います。

 ナノ医療イノベーションセンターは、今お話ししたように通称iCONMと呼ばれます。2015年4月にできました。施設内の写真が少し出ていますが、できるだけ違う分野の人が集まって研究できるよう、非常にオープンスペースになっています。また、「マグネットエリア」と呼んでいる、みんなが集まれる場所を作っています。それから、微細加工・有機合成・細胞実験・動物実験まで、一つの建物の中で一気通貫してやれる設備を持っています。

 これが今どこにあるのか、説明します。これは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
最強の臓器「皮膚」のふしぎと最新医療(1)かゆみのサイエンス
「かゆみ」の正体を科学する!最新研究で迫る皮膚の仕組み
椛島健治
腸内細菌の可能性とマイクロバイオームのダイバーシティ
注目は納豆!腸内細菌が生成する若返り物質「ポリアミン」
堀江重郎
“膝の痛みの名医”が語る(1)変形性膝関節症とは
膝の痛み…変形性膝関節症に有効なのは「運動療法」
黒澤尚
「男性更年期」とは何か
うつやほてり…男性ホルモン・テストステロン減少のせい?
堀江重郎
老いない骨のつくり方(1)高齢化と骨の病気
健康寿命に大きく影響する骨粗鬆症・歯周病・変形性関節症
鄭雄一
1分チャージ! 新・エクササイズ理論
たった1分で効果を上げる新運動理論と攻めのダイエット
堀江重郎

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留