ナノテクノロジーでがんに挑む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
脳腫瘍の治療薬の効果を高める免疫チェックポイント阻害剤
ナノテクノロジーでがんに挑む(4)脳腫瘍治療のためのDDS活用<前編>
片岡一則(ナノ医療イノベーションセンター センター長/東京大学名誉教授)
脳腫瘍に対するドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いた具体的な3つのアプローチのうち、2つを解説する。1:免疫チェックポイント阻害剤との併用、2:血管内皮細胞の通過を促進するリガンド分子の装着である。どちらも、脳腫瘍の治療に高い効果を発揮することが分かっている。(全8話中第4話)
時間:7分42秒
収録日:2021年5月12日
追加日:2022年3月19日
≪全文≫

●免疫チェックポイント阻害剤との併用


 最初に免疫チェックポイント阻害剤との併用についてお話しします。

 脳腫瘍は薬が集まりにくいのですが、全くいかないわけではありません。ですから、少ない量の薬でもうまく効果が出るように免疫チェックポイント阻害剤と一緒に使います。

 では、どれが良いのかというと、免疫チェックポイント阻害剤である「オプジーボ」がすごく有名です。これはどういうものかというと、抗体です。がん細胞をやっつける細胞は活性化したT細胞です。この活性化したT細胞ががん細胞の抗原を認識して、結合して、さあやっつけようというときに、がん細胞は自分の表面にPD-L1というタンパク質を発動します。そうすると、鍵と鍵穴のように、PD-L1が活性化したT細胞にあるPD-1にくっついて、ブレーキになってしまいます。免疫チェックポイント阻害剤という抗体はこの間に割って入って、PD-1とPD-L1の結合を阻害します。それによって活性化したT細胞はがん細胞を攻撃することができます。これは素晴らしい発見で、これによって本庶佑先生がノーベル賞を取られました。

 ただ残念なことに、この免疫チェックポイント阻害剤で効果がある人は、がんの患者さん全体の1割から3割です。そして、脳腫瘍には効かないという問題がありました。


 どうして脳腫瘍だけ効かないのでしょうか。その一つの理由として、脳腫瘍は「冷たいがん」といわれていて、今お話ししたようにがん組織をキラーT細胞が攻撃するには、キラーT細胞ががんに集まってこなければいけません。この集める役割をするのは何かというと、成熟した樹状細胞という細胞です。しかし、樹状細胞が未成熟な状態だと、活性化したT細胞をリクルートすることができません。

 ではどうしたらいいのでしょうか。面白いことに、ある種の抗がん剤でがん細胞を殺すと、このがん細胞から、CRTやHMGB1、ATPといった物質が放出されます。こうやって放出された物質が未成熟の樹状細胞を成熟した形に変えて、脳腫瘍を温かい腫瘍、ホットな腫瘍に変えます。そうすると、T細胞がリクルートされてきて、がんがやっつけられます。

 どんな抗がん剤でもこういうことが起きるわけではなく、実はドキシル...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
アンチエイジングのための「5:2ダイエット」
「5:2ダイエット」活性酸素を減らしてアンチエイジング
堀江重郎
1分チャージ! 新・エクササイズ理論
たった1分で効果を上げる新運動理論と攻めのダイエット
堀江重郎
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
驚異の味噌パワー
味噌で免疫力向上、がん抑制、放射能除去…発酵食品の効果
小泉武夫

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(21)中西輝政先生:アメリカの本質
【10min解説】独立250年、アメリカの理念と本質とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
【入門】日本仏教の名僧・名著~源信編(1)末法思想と浄土信仰
末法直前に法華一乗思想と浄土信仰を両立した源信の教え
賴住光子
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(2)三大要素は「皇帝」「都市」「漢字」
中国皇帝の実像は都市ネットワークを握る「最大の資本家」だった
宮脇淳子
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
老子の神髄(4)生成化育と突破力
生成化育――「自ずと然り」のメッセージと「突破する力」の歓喜
田口佳史
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(7)自分の人生のために
AI時代こそAIでなく「生きた学び」で自分の人生を膨らませる
橋爪大三郎
ウェルビーイングを高めるDE&I(1)人と組織を取り巻く環境変化:前編
人材はコストではない!人的資本経営が注目されている背景
青島未佳