日本文化を学び直す
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
『古事記』に表れている日本の“日本性”とは何か
日本文化を学び直す(5)『古事記』の研究とムスビ
哲学と生き方
田口佳史(東洋思想研究家)
日本を理解するには本居宣長が研究した『古事記』をしっかりと読むことが重要だと田口佳史氏は言う。『古事記』の冒頭では、国の根本となる神の存在が書かれ、次いで “ムスビノカミ”が登場する。この“ムスビ”こそが、日本の創造性、産み出す力を表しているのだ。(全11話中第5話)
時間:7分47秒
収録日:2020年2月5日
追加日:2020年10月14日
≪全文≫

●日本を理解するための『古事記』


 古代、特に日本の古代には、何かエネルギッシュでダイナミックな創造性というものが、生存意欲を後押しして、存在しているということを今回の転換期に、もう1度あらわにするということが重要だと思うんです。あらわにできたら、世界に冠たるものがどんどん生まれてくると言っていいんじゃないでしょうか。

 そういう意味で、何といっても本居宣長が言うように、「漢意(からごころ)」といいますが、漢意の入る前ということは、要するに外来文化が入る前の日本というものを記したものが『古事記』(ふることふみ)であるということです。今、われわれは「こじき」と読みますが、彼の時代は「ふることふみ」と読んで、この『古事記』をよく理解しなきゃいけないけれども、『古事記』を理解するためには万葉というものをよく読まなきゃいけないんだと。


●賀茂真淵から本居宣長へ引き継がれた日本性の追究


 賀茂真淵が一生をかけて万葉の勉強をしたというのも何のためか。日本というものは何なんだということを追究するためには、まず古代文字に精通しなければ何も分からない。そのためには万葉仮名とか、万葉の表現、こういうものはちゃんと理解できていないとダメなんだと。そういうものがあり、それでやったんです(万葉の勉強をした)。

 賀茂真淵は本居宣長にこう言ったそうです。「私は『万葉集』の研究で終わってしまう。日本というものの根幹を追究するということができなかった。ぜひ後を継いでくれ」と。それで本居宣長はある種、日本の心というものを追究するということをやったんです。その本居宣長が非常に強く言っているのが、『古事記』をよく読むということがなにしろ重要だということです。そこに日本の“日本性”というものが表れているんだと、そういうことを言っているわけです。


●『古事記』冒頭に出てくるのは日本の産み出す力を表わす「ムスビ」


 そういう意味で、『古事記』をしっかり読むということが重要です。まず、この『古事記』の一番最初のくだりが非常に重要なんですね。読んでみますので、五感でぜひ聞いていただきたいと思います。

「天地(あめつち)初めて起こりし時、高天原(たかまのはら)に成りませる神の名は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」

 天之御中主神という神様が根本的にあるわけですね。そして「次に」と...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
鎌田東二
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治