日本文化を学び直す
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
縄文文様が表わすヘビや渦巻き模様に託された意味
日本文化を学び直す(2)縄文文様と日本人の永遠性
田口佳史(東洋思想研究家)
縄文文化のもう一つの側面として縄文文様がある。縄目の文様で表してあるヘビや渦巻きには強い生存本能、永遠性への思いが託されている。当時の日本社会は自然採取経済で、豊かな恵みをもたらす明るい照葉樹林帯で成り立っており、人々は自然のすさまじいエネルギーと呼応していた。その結果、縄文文化に見られるような健全な生存力が日本文化のベースを形づくったのである。(全11話中第2話)
時間:10分38秒
収録日:2020年2月5日
追加日:2020年9月23日
≪全文≫

●縄文文様の特徴としてヘビや渦巻きが表現されている理由


 (縄文文化には、縄というもの自体が当時の人々の生命線を表しているという、)こういう非常にクールな部分も一つありますが、そのクールな部分のもう一つの側面に、今度は縄文文様、縄目の文様というものがありますよね。これはまた何を表しているのかというと、まずヘビを表している。ヘビというのは何かというと子孫繁栄で、当時は非常に重要なものでありました。なにしろ未開の社会においては、死に絶えるということが一番恐ろしいことでありましたから、そういう意味で子孫繁栄するというので、ヘビとか、ウナギとか、そういうものは非常に精力の大元になっているというもので、そういう文様を表していると。

 それから縄文文様でもう一つの特徴として、渦巻き文様というのがあります。この渦巻きというものは何なのかというと、水を表しているのと、それからもう一つは永遠性を表しているわけですね。だから人間というのは、この世のものはどんなものでもライフサイクルがあって、やがて滅亡するというところなんだけど、皆さん、ご存じのように、大木がドサッと倒れて一生を終えるとしても、そこからまた芽が生えて後継ぎが出てくる。

 つまり簡単にいうと、そのようにそのもの自体の終焉というものはあるけれども、魂としては永遠性を誇っている。むしろ永遠性を誇っているほうを、われわれは重視しなければいけないとすれば、それはやはり子孫を大切にしなきゃいけないということ。子孫が発展、繁栄するようにしていかなければいけないということで、その点で考えれば、そこには健康な身体というものがまず一つ出てくるでしょう。それからそういう生存性、生存能力というものの絶対性を表すような、エネルギッシュで非常にダイナミックな部分というものがあります。


●文様に込められた強い生存力、永遠性への希求


 もっと理屈で考えてみると、この縄文文様というのは多様性と、それから規則性というものを表している。つまり当時の、今から1万年前ぐらいの人たち、日本人の頭脳の中にはもうすでに多様性を認め、それから規則性を認めると。認めるということは大切にするということですけどね。そういうものがあったのです。今、ダイバーシティとか言っているけどね、もう1万年前に言っているんだよというようなものでありました。

 そういう意...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保