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縄文文様が表わすヘビや渦巻きに託された意味

日本文化を学び直す(2)縄文文様と日本人の永遠性

田口佳史
東洋思想研究者
情報・テキスト
縄文文化のもう一つの側面として縄文文様がある。縄目の文様で表してあるヘビや渦巻きには強い生存本能、永遠性への思いが託されている。当時の日本社会は自然採取経済で、豊かな恵みをもたらす明るい照葉樹林帯で成り立っており、人々は自然のすさまじいエネルギーと呼応していた。その結果、縄文文化に見られるような健全な生存力が日本文化のベースを形づくったのである。(全11話中第2話)
時間:10:38
収録日:2020/02/05
追加日:2020/09/23
キーワード:
≪全文≫

●縄文文様の特徴としてヘビや渦巻きが表現されている理由


 (縄文文化には、縄というもの自体が当時の人々の生命線を表しているという、)こういう非常にクールな部分も一つありますが、そのクールな部分のもう一つの側面に、今度は縄文文様、縄目の文様というものがありますよね。これはまた何を表しているのかというと、まずヘビを表している。ヘビというのは何かというと子孫繁栄で、当時は非常に重要なものでありました。なにしろ未開の社会においては、死に絶えるということが一番恐ろしいことでありましたから、そういう意味で子孫繁栄するというので、ヘビとか、ウナギとか、そういうものは非常に精力の大元になっているというもので、そういう文様を表していると。

 それから縄文文様でもう一つの特徴として、渦巻き文様というのがあります。この渦巻きというものは何なのかというと、水を表しているのと、それからもう一つは永遠性を表しているわけですね。だから人間というのは、この世のものはどんなものでもライフサイクルがあって、やがて滅亡するというところなんだけど、皆さん、ご存じのように、大木がドサッと倒れて一生を終えるとしても、そこからまた芽が生えて後継ぎが出てくる。

 つまり簡単にいうと、そのようにそのもの自体の終焉というものはあるけれども、魂としては永遠性を誇っている。むしろ永遠性を誇っているほうを、われわれは重視しなければいけないとすれば、それはやはり子孫を大切にしなきゃいけないということ。子孫が発展、繁栄するようにしていかなければいけないということで、その点で考えれば、そこには健康な身体というものがまず一つ出てくるでしょう。それからそういう生存性、生存能力というものの絶対性を表すような、エネルギッシュで非常にダイナミックな部分というものがあります。


●文様に込められた強い生存力、永遠性への希求


 もっと理屈で考えてみると、この縄文文様というのは多様性と、それから規則性というものを表している。つまり当時の、今から1万年前ぐらいの人たち、日本人の頭脳の中にはもうすでに多様性を認め、それから規則性を認めると。認めるということは大切にするということですけどね。そういうものがあったのです。今、ダイバーシティとか言っているけどね、もう1万年前に言っているんだよというようなものでありました。

 そういう意味で、日本人の永遠性というものが、生存性というものを基本において、絶対生き抜くんだという生存本能を強化するというようなことが非常にあったと思うんですね。

 今のように、生存というのは、安全で、安心、安泰というようなものを第一義において、生存を守っていくのではなく、むしろそういうものを乗り越えていくという精力、エネルギッシュと、そういうものを人間の絶えざる要素として持っているということが非常に重要なんじゃないかと思えます。

 ぜひ縄文文様というものを皆さんも1回じっくり、当然レプリカですが、小さなものでもいいから、机の上にこう置いて、1日じっと眺めていると、そのすごさがどんどん沸き返ってくると思います。ただ、「わび・さび」まで来ちゃうと、何か赤裸々な生存性とか、エネルギーというものが生で表面立って感じられないような部分がありますよね。そういうものではないということをまず考えていただかなきゃいけないんですね。


●縄文文化の中の日本社会の特徴は自然との交流による明るさ


 当時の社会は自然採取経済です。漁労とか、狩猟とかいうのが常でありましたから、つまりこれは何を表しているかというと、自然との融合というものを非常に身近に考えざるを得ないということで、自然とどのように和むか、一体化するということが非常に重要だったと思うんですね。

 特に日本の場合は、森林山岳性というものが非常に強い国です。ということは、山でありながら森林、森。だから森の民であり、山の民であるという、その特性は非常にものが豊富で、恵まれているということですね。

 ですから、日本の古代というものは照葉樹林帯に代表されるように、非常に明るいものがある。何か暗い困難を目の前にして、ただ耐え忍んで生き続けるというのではなくて、もっと晴れやかに明るい、パーッとした、そういう自然に対してこちらから飛び込んでいく。自然がそれを受け止めて、そこで人間と自然との交流というものが非常に強くなるというような、そういうものがあります。

 そういう意味で、他国に見られるような自然採取経済と大いに違うところは、明るい地域であるといっていいと思うんです。


●日本人の根源には豊かな自然と呼応する健全な明るい生存力がある


 その明るさの基本はどこにあるかというと、豊富な恵みというところにあります。そういう意味では、楽園というも...
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