日本文化を学び直す
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日本のものづくりにつながる田んぼでの「神との共作」
日本文化を学び直す(6)神と共にある日本
田口佳史(東洋思想研究家)
日本は独自の産み出す力を古代より有しているのだが、その象徴となるのが美しい田んぼである。田んぼは神との共作の場であり、だからこそ人々は実りを得ると「あえのこと」という供食の祭りで神をもてなしてきた。このような神との関係の源となるのが「ムスビ」であり、『古事記』を読むと、日本国土が産み出すエネルギーの塊だったことがよく分かる。(全11話中第6話)
時間:11分23秒
収録日:2020年2月5日
追加日:2020年10月21日
≪全文≫

●日本の田んぼは神との共作


 ですから、日本のものづくりというのはちょっとすごいねと言っているのは、そういう環境と、それから日本人、シリーズ内でこれまで言っているように縄文の昔からずっとその空気を吸って何万年とやってきた、そういう民族というものの特性が相まっているということです。

 その象徴が田んぼなんです。私自身も行ってみましたが、日本の田んぼというのはどうしてこんなに美しいのかというと、田の神、生産の神との共作だからです。

 まず神との共作の概念ですが、これまでに「運が強い」とか、「収獲は神との一体化」という話をしました。日本に農耕というものが入ってきて、それが田んぼという場所を媒介として、田の神と農民との一体化を想起することになっていく。

 したがって、そこに神様に来てもらわなきゃいけない。だから、そこは汚れたところではダメで、やっぱり清く澄んだところでなければダメだと。なぜ清く澄んだところが神様の来るところなのかというと、日本は森林山岳地帯であるからです。森林というのは水がめを表している。水がなにしろ豊富で、しかもその水は山岳地帯を走っているということで、いずれも急流になっている。そして、水は清いものであると。川の水といったら、われわれにはそれはきれいでしょうという概念があるというお話をしたけれども、清いもの、そういうところに神は降霊するという考え方がありますから、清くなきゃいけない。

 田んぼなんていうところは米が取れればいいじゃないかという発想もあるけれど、より良いものが取れなきゃ意味がない。そういうクオリティというものを神の領域まで考えて、われわれは長年ものづくりをしているというすごさがあるわけですね。


●田の神と供食する「あえのこと」


 それで、どうするのかというと、秋になって、要するにたくさん取れたというと、田の神様に対する御礼というものをしなきゃいけないというんで、「あえのこと」(祭礼)をする。「あえ」というのは共作したものを共食するということで、神との共食というのは非常に重要な行為であります。今でも「直会」(なおらい)というものをやりますが、あれもその名残です。

 ですから、そういう意味で、共食を一緒にする、作ったものを一緒に喜んで食べる、こういうのができました。「よかったね、いいですね」と言いながら、一緒に食べる。...

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