日本文化を学び直す
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
世阿弥が能に復活させたのは日本の伝統的なライブ感
日本文化を学び直す(8)世阿弥と夢幻能
田口佳史(東洋思想研究家)
世阿弥を語るのに欠かせないのが夢幻能である。夢幻能にはワキとシテが登場するが、そこでは霊力、アニマが時空間を支配し、あの世とこの世の境を断ち切って観客を巻きこんでいく。ドラマとはそのような縄文から受け継がれてきた霊力に満ちたものなのだ。世阿弥はいわば霊力による日本の伝統的なライブ感を能という芸術の中に復活させたわけだが、田口氏は日本人にはこうしたすさまじい霊力に感応する力が備わっていると言う。(全11話中第8話)
時間:8分35秒
収録日:2020年2月5日
追加日:2020年11月4日
≪全文≫

●世阿弥の夢幻能はよく知っておいたほうがいい


 その人(世阿弥)が語るのに、これを語らなきゃダメだというものがあります。それが「夢幻能」というものです。これはよく知っておいたほうがいい。これについては『井筒』を例にお話しします。

 夢幻能は、第一に「ワキ」という演者がずっと出てくるんですが、これは僧の形、坊さんの形をしています。その人がこう言うんですね。「これは諸国一見の僧にて候。我この程は南都七堂に参りて候。又これより初瀬に参らばやと存じ候」と。諸国一見の僧が出てくるというのが面白いですよね。いろんなところを見物しながら人生を送っている人がいたと。すごいものですよね。こういう一生があった。そういう人が現にちゃんといたということですね。

 その諸国一見の僧がほとんどボロボロになっている廃寺へ行って、こう言うんですね。「これなる寺を人に尋ねて候へば。在原寺とかや申し候程に。立ち寄り一見せばやと思ひ候」と。つまり、人に聞いたらなんという寺か。「在原寺」と言う。へえ、そうですか。じゃあちょっと見ていこうかと。寺はすっかり荒れ果てて、秋も半ば、冬枯れの時で、さみしい風景。そういうところなんですね。

 その時に、「前ジテ」というものが始まって、スッとそこにシテが出てくるんです。これが「いとなまめける女性」です。なまめかしいということです。美人とは言っていない。なまめかしいと言っているところがいいと思う。いとなまめかしい女性が花とお水を手向けにすっと登場するんです。

 そこで、ワキの僧侶がまずその女性にこう言います。「如何なる人にてましますぞ」これはまだ通り相場の台詞です。続いてこう言います。「これはこの辺りに住む者なり」。私はこの辺りに住んでいる者なんですが、「この寺の本願在原の業平は。世に名を留めし人なり」と。ああ、だから在原寺なんだとなる。

 大体この夢幻能というのは、一時代前の絶世の美男子、在原業平などが登場します。どういう人であったかというと、私を見てくれればいいですよ(笑)。在原寺はこの業平をお祀りする寺だというわけです。


●時空間を支配するアニマ


 「いかさま故ある御身やらん」、あなたはどういう縁故でここに手向けに来られているんですかと尋ねる。「故も所縁もあるべからず」と言った瞬間に、バッとそこで変わって、ここから夢幻空間へサーッと入っ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(6)賴住光子先生ラフカディオ・ハーン論
ラフカディオ・ハーン『怪談』と『神国日本』の深い秘密
テンミニッツ・アカデミー編集部
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
印象派の解体と最後の印象派展(5)ポスト印象派の台頭
ゴーガン、ルドン、スーラ、ゴッホ…ポスト印象派の時代へ
安井裕雄
新撰組と幕末日本の「真実」(3)「日野と多摩」の風土と天然理心流
田舎のヤンキー像は大違い…日野の豊かさと文武両道の気風
堀口茉純
変化する日本株式市場とPEファンド(1)近年急増するPE投資
プライベート・エクイティ・ファンドとは何か…その手法は?
百瀬裕規
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
大谷翔平の育て方・育ち方(7)不可能を可能にする力
「てっぺん」を目指したい――不可能を可能にする秘密とは
桑原晃弥
こどもと学ぶ戦争と平和(6)平和な社会を守るために
チャーチルの名著『第二次世界大戦』に学ぶ真の平和への道
小原雅博
インフレの行方…歴史から将来を予測する(2)明治以降の物価推移とインフレ率
戦後日本のハイパーインフレの真実…その時、何が起きたのか
養田功一郎
印象派の誕生~8人の主要な芸術家
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
安井裕雄