日本文化を学び直す
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
人知を超えた存在である神との一体化を示す「運の強さ」
日本文化を学び直す(3)日本的を自覚する
田口佳史(東洋思想研究家)
古代の日本人には、人知を超えた自然の力と一体化する能力が備わっていた。圧倒的な力を持つ見えない存在・神を感じ、神との一体感を求めて祭祀を行ったのだ。見えざる自然、神の力をアニマ、霊力として認識する。これが神道の基本であり、縄文時代にその基本はすでにできあがっていた。大転換期の現代に、われわれはこうした日本的なるものを再度自覚する必要がある。(全11話中第3話)
時間:6分25秒
収録日:2020年2月5日
追加日:2020年9月30日
≪全文≫

●人知を超えた存在・神との一体化


 そこで、森の奥底に人知を超えた力があって、それを神というわけですが、そういうすさまじい力との一体化ということが重要です。

 一体化とはどういうことかというと、要するに人間としての人工性をなるべく排除することによって自分も自然の一員のように、自然と同一の呼吸、同一の息吹というものになっていくことによって、自然との一体化ということになってくる。それが人知を超えたものとの一体化ということです。まさに人知を超えた神なる存在とその力を駆使するということになってくるわけです。そういうものが日本のベースにあったから、老荘思想とか、禅とか、そういうものが高度に発展していったといってもいいと思うんですね。

 そういう要素がなければ、あそこまでの発展はない。禅についても、老荘思想についても、この後十分に語ることになりますが、日本にはその淵源として、その土壌に人知を超えた力の存在というものを味方につけるだけの人間的な広がりというんでしょうか、あるいは自然との融合というもののコツといったらおかしいけれども、それはどうすればできるのかというような、そういうものが自然に備わっていたといっていいでしょう。


●非常に重要なのは、見えない存在であるということ


 もう一つ、そこから出てくるのは、それをもって運の強さといってもいいんじゃないかと。人知を超えた存在である神と一体化することができたかどうか、そのことを運の強さといっていた。例えば「今日は恵まれて…」というとき、「運に恵まれて、獲物がたくさん取れてね…」ということとか、あるいは、これはもう命が危ないというような状況のときにスッと救われたということも神のおかげじゃないか。

 そうやって一体化するというとき、神というものが必ず存在するようになってくる。その神とはどういうものかですが、まずここで非常に重要なのは、見えない存在であるということです。「これが神です」といえない存在であるというところがすごく重要で、ここから、見えないものを見るということになるのです。なにしろ見えない神をあたかもそこに存在しているかのように、要するに使う。これは直観、直覚という、それこそ鈴木大拙が言っている禅の奥義の基本です。日本の場合、そういうものを古代において、古代人がもう十二分に備わっていたといっていいと思うんで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫