山上憶良「好去好来の歌」を読む
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
言霊の幸わう国とは?なぜ神様?「好去好来の歌」が描く日本
第2話へ進む
8世紀を代表する知識人・山上憶良が感じたグローバリズム
山上憶良「好去好来の歌」を読む(1)山上憶良に学ぶ国際感覚
上野誠(國學院大學文学部日本文学科 教授(特別専任)/奈良大学 名誉教授)
万葉歌人として名高い山上憶良は8世紀当時、阿倍仲麻呂と肩を並べる国際的な知識人だった。豊富な知識や見識を支えたのは遣唐使としての経験であり、彼のもとに教えを乞いに訪れる遣唐大使もいた。今回のシリーズでは、グローバル社会の中で問われる日本文化について、山上憶良が大使に送った壮行としての「好去好来の歌」から、その国際感覚とともに掘り下げてみたい。(全4話中第1話)
時間:18分28秒
収録日:2024年4月2日
追加日:2024年5月19日
≪全文≫

●8世紀を代表する日本の知識人・山上憶良


 ご機嫌いかがでしょうか、上野誠です。この配信では、いろいろなテーマを取り上げてきました。この配信を聞いている人は、いろいろな本を読まれながら、自分の知識を確かめてみたいというような方が多いと思っています。

 例えば、ルース・ベネディクトの『菊と刀』という本を読んだ。その中では、日本文化の特徴がこういうふうに書いてある。自分自身もサラリーマンとして生活してきて、その通りだと思った、という人もいるでしょう。

 また、韓国の李御寧に『「縮み」志向の日本人』という本があります。これには、日本文化というものは細やかになり小さくなっていく(と書いてある)。そういうところに惹かれ、「日本の文化でそういうものを経験した」という人も多いかもしれません。さらには仕事で、ヨーロッパやアメリカのような外国で生活をする中で、物の考え方の違いにハッとしたという方もおられるかもしれません。

 私が今日話そうと思うのは、山上憶良という人です。山上憶良は8世紀頃を生きた日本を代表する知識人で、遣唐使となって中国の最新の知識を日本に導入しました。そして『万葉集』に歌を残し、文章を残した、当時第一級の知識人です。

 おそらくその当時、中国の知識人と対等に話ができた人物を挙げるとすると、まずは阿倍仲麻呂でしょう。彼は玄宗皇帝の側近になり、国務大臣クラスという大変な役職に就いた人です。しかも、彼は王維や李白という当時を代表する詩人たちと詩のやりとりができたということです。だいたい中国の知識人と詩のやりとりをしようと思うなら、例えば相手の詩に氷(アイス)ということばが出てくるなら、氷ということばの入っている漢詩を20や30は思い出せるぐらいの知識量がないとそれができません。そのぐらいのレベルです。

 そして、山上憶良もまた、おそらくそういう知識量を誇っていた人であるわけです。しかも、彼は仏教者でもあり、儒教にも通じていた。行政官としては現在の県知事クラスである国司になっていますから、行政官としても一定の高官になっている。かなり高い水準の高官になっているということなので、これは大変な人物です。その人物の生き方や物の見方を通じて、日本の文化や日本人の考え方のようなものを掘り下げてみようというお話をしたいと思うわけです。


●日本の宗教の不思議とヨーロッ...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(1)1923年生まれの3人の作家
司馬遼太郎と日本人…まず遠藤周作、池波正太郎との比較で考える
片山杜秀
「万葉集」の聖徳太子――語りかける人(1)日本人の憧れ
聖徳太子と日本人…「実在しなかった」説の真相とは?
上野誠
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
クラシック音楽で世界史がわかる…宗教音楽からクラシックへ
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
「満洲」から考える日本とアジア(3)「渤海」とはいかなる国か
謎の「渤海」…7世紀末から10世紀まで満洲で栄えた渤海と奈良時代以降の日本との交流の背景は安全保障
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(32)鎌田東二先生の法華経講義解説-1
【10min名作探訪】鎌田東二先生の『法華経』講義の核心ビジョン
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(7)AI活用の落とし穴
AIへの不安と懸念…だからこそ「教養」が必要になる
渡辺宣彦
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ