古事記・日本書紀と世界神話の類似
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「浦島伝説」と「オシーン伝説」の類似、その背景に迫る
古事記・日本書紀と世界神話の類似(7)日本神話とアイルランド神話の類似
鎌田東二(京都大学名誉教授)
日本とアイルランドはユーラシアの両端に位置するが、両国には類似する神話が存在するという。その神話とは日本の「浦島伝説」とアイルランドの「オシーン伝説」である。なぜこれほど遠く離れた両国にそうした類似する神話が生まれたのか。その背景について解説する。(全10話中7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分27秒
収録日:2021年9月29日
追加日:2022年5月1日
≪全文≫

●ユーラシアの両端にたまった神話の類似性


鎌田 そこで今回のシリーズのテーマである類似の神話学ですが、もう1つ類似の神話があります。「出アフリカ」した人類が、今度は「出ヨーロッパ」して、そしてイギリスやアイルランド、あるいは日本列島に入っていきました。ユーラシアの西の果てがアイルランド、東の果てがと日本だとすると、アイルランドと日本には類似の神話があります。

―― たどった過程でいうと、一番遠い2つの国ということになりますね。

鎌田 そうですね。地理的には対極的・対照的な場所(ポイント)ですね。もっとも遠いような場所にあるところに、なぜこれほど似ている話があるのか。その話とは「浦島(太郎)伝説」と「オシーン伝説」です。

 浦島伝説について、実はこのような本を出しました。淡交社という出版社から発刊された『京都 上賀茂神社と水のご縁 葵(あふひ)』です。京都の上賀茂神社、下鴨神社では葵祭が行われますが、御阿礼(みあれ)祭という神様が誕生する重要な祭となります。その中で特にその上賀茂神社のことを中心にした本なのですが、ここに私は日本の二葉葵とアイルランドのシャムロックという2つの儀礼について書きました。日本では葵を使った祭、アイルランドではシャムロックという三つ葉のクローバーを使う祭があります。そのような聖パトリックデー(祭)の根幹には、共通の神話的物語要素があるのではないかと私は常々考えています。

 アイルランドと日本ですが、私の顔がユーラシア大陸だとすると、2つの耳が日本とアイルランドに当たります。

―― まさに端と端、周縁の部分ですね。

鎌田 この2つの耳が地球全体の大きな声を聞き届けている。「出アフリカ」し、「出ユーラシア」したものの最後の帰着点は、西の果てと東の果てしかない。地球上のあらゆるものが、西の果てと東の果てにとどまる。だから神話的要素も、東西の果てにとどまる。というわけです。そこから先は行き止まりなので、この行き止まりの場所に、実は地球上で生成されてきた神話的な物語の古い部分がかなり残されている可能性があるのです。

―― そこにたまっているということですね。

鎌田 どちらも、そこから先は出口がありません。日本の場合は「東の先は常世の国である」「ニライカナイである」、アイルランドの場合は「ティル・ナ・ノーグという常若の国がある」などと言...

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