古事記・日本書紀と世界神話の類似
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
スサノオとオルフェイス、悲しみと歌でつながる男神の物語
第2話へ進む
なぜ『古事記』と『ギリシア神話』は似ているのか
古事記・日本書紀と世界神話の類似(1)オルフェウスと死
鎌田東二(京都大学名誉教授)
ユーラシア大陸の東方にある日本と、西方にあるギリシアにおいて、神話の筋立てが非常に似ているという不思議な事実がある。なぜ遠く離れた二つの地で類似した神話が生まれたのか。その謎に迫るために、まずは日本神話とギリシア神話の類似している部分に迫る。(全10話中1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分53秒
収録日:2021年9月29日
追加日:2022年3月20日
≪全文≫

●神々の誕生や死がドラマチックに描かれた『古事記』


―― 皆様、こんにちは。

鎌田 こんにちは。

―― 本日は鎌田東二先生に、神話について講義をいただきたいと思います。鎌田先生、どうぞよろしくお願いいたします。

鎌田 よろしくお願いします。

―― 鎌田先生にはこれまで神話についてのシリーズ講義を2回していただき、本日が3回目になります。今日お聞きしたいのが、「類似の神話学(神話の中でも不思議と似た神話がある)」です。例えば、日本とギリシアという非常に離れた土地で、まるで同じような筋立て(プロット)の神話があるといったことです。その秘密や不思議、またそれが意味するものについてお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

鎌田 私が神話に最初に触れたのが、小学校5年生の時でした。小学校の図書室にあった『古事記』を何気なく手に取って読んでいるうちに、夢中になっていきました。非常に心ひかれるものがそこにあったのです。

 そこでは、「宇宙の始まり(この天地がどのようにして始まったのか)」や「国生み神話」といった物語が展開されたあとに、死の国(黄泉の国)へ行くというお話が出てきます。

 イザナギノミコト、イザナミノミコトが性的な交わりを通して、出産するように日本の国土を生んでいきました。だから、日本の国(日本列島)は「大八島国」といい、神様の子どもとして生まれた島々だという話を以前にしました。イザナミはそのあと、最後に火の神を生み、火の神を生んだために燃えてしまい、子宮などが全て焼かれたために黄泉の国へ行ってしまうのです。

 そこで、イザナギ(夫)は黄泉の国へ追いかけ、そこにいるイザナミ(妻)に、「まだ国生みが終わっていないので、一緒に元の世界へ戻り、2人で国生み(神生み)をしよう」と誘います。ですが、イザナミは黄泉の国の食べ物を食べてしまったということで、戻ることができません。そこで、「あなたがせっかく来てくれたので、神様と相談します」と言って、黄泉の国の神様と相談します。そして「その間は私(イザナミ)を絶対に探さないで(見ないでね)」と言ったのですが、イザナギはその「見るなのタブー」を犯してしまいます。

 (どういうことかというと、)イザナギはイザナミ(妻)を待つのですが、じれったくてどうしても待つことができず、探しに行きます。そうして、暗闇の中...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦