古事記・日本書紀と世界神話の類似
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ユング的な生得説の可能性――深層心理に神話の原型がある
古事記・日本書紀と世界神話の類似(5)2つの類似要因
鎌田東二(京都大学名誉教授)
世界神話の類似には2つの要因が考えられる。一つは経験論的な「神話伝播説」で、もう一つがユング的な考え方による「生得説」だ。なぜ人類が違った場所で違った時代に同じ夢を見るといった、シンクロニシティのようなことが時空間を超えて起こるのか。その意味と、両者の可能性について考える。(全10話中5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分21秒
収録日:2021年9月29日
追加日:2022年4月17日
≪全文≫

●ギリシア神話に影響を与えた巨大文明


―― 人類はアフリカ大陸から出発するので、当然日本人の始祖もかつてギリシアを通ってきた。いってみれば日本に来る過程で神話の原型となるものがすでにあって、それを持ちながら移動していったということですか。

鎌田 一番古い神話が地球の隅々まで行ったかどうかは分かりません。けれども、ある段階で古いものを新しくリニューアル(リノベート、上書き)した神話が、いろいろな形でいろいろな地域に残され、あるいは作られて、伝承していったのです。

 巨大な神話としてはまずエジプト神話です。エジプト文明のスフィンクス、あるいはピラミッドなどといったものを支えた神話体系があります。また、メソポタミア文明にはジグラット(神殿聖塔)を中心にした神話体系がある。エジプト神話とメソポタミア神話は巨大文明の神話体系で、王権と結びついています。

 その狭間にあって、ユダヤ人(ヘブライ人)たちの神話が『旧約聖書』として独自に登場する。この『旧約聖書』の神話も、エジプト神話とメソポタミア神話の影響を受けながら独自の構造を作り上げてきています。

 またギリシア神話ですが、ギリシアは地中海を隔ててエジプトのアレクサンドリアから目と鼻の先にあるでしょう。



―― しかも間は海ですから、比較的行き来しやすいですね。

鎌田 地中海は太平洋のような荒海ではありませんから、頻繁に交流、交換はあっただろうと推定できます。そうすると、エジプト神話がクレタ島などを通ってギリシア本土に伝わっていくことも十分あり得ます。それから陸路で、コンスタンティノープルなどを通ってメソポタミア(今のイラクやトルコ)のほうから隣国ギリシアに伝わってくることも考えられる。それほど至近距離なのです。

 そのようなエジプト神話体系、メソポタミア神話体系の影響などを受けながら、神話的物語がギリシアの風土の中で練り上げられていき、いわゆるオリンポス十二神の物語――ゼウスを中心神格として多くの神々がさまざまな活動をする物語――ができてくる。その話の中の1つとして、ゼウスの子・ペルセウスの英雄神話も出来上がっていく。ゼウスの子・アテネ、アポロンなど、いろいろな神々の物語ができていったといえます。

―― 可能性として、ですね。

鎌田 伝播が中心になりながら、その土地の風土の中で、あるいは部族の中で上書き...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
人生に活かす東洋思想(1)人生の成功とは何か
東洋思想の「徳」や「道」をわかりやすくいうと?
田口佳史
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環