インド神話の基本を知る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
原人プルシャ神話…千の頭・目・足を持つ身体と世界の誕生
インド神話の基本を知る(3)人間と世界の始まり
鎌田東二(京都大学名誉教授)
インド神話では人間や世界の始まり、あるいは文化の始まりについて、どのように描かれているのだろうか。複数の伝説がある中で比較的よく知られているのは、千の頭、千の目、千の足を持つという原人プルシャという存在がいて、その身体から分かれ出て人間や世界が生まれたという神話である。また、人間の祖先のような位置づけとして描かれているものに、マヌとヤマ(閻魔)の物語がある。そこで今回は、それらについて解説しながら、インド神話の特徴を概観する。(全4話中3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分49秒
収録日:2022年6月7日
追加日:2023年10月1日
≪全文≫

●原人プルシャから人間や世界が生まれてきた


―― 今までの神話でも、世界の始まりなどの話を伺ってきましたが、インド神話の場合ではどういうことになるのですか。

鎌田 インド神話は断片的にいろいろな世界の始まりが語られているので、そのいくつかのパターンといいましょうか、断片をお話ししますと、多くの人が知っているのは、原人(巨人)プルシャの身体から分かれ出て、人間や世界が生まれてきたという神話です。これはもともと『リグ・ヴェーダ』の中にあるものです。

 千の頭、千の目、千の足をもつ原人プルシャという存在がいて、そこから万物や人間が分かれ出てくる。例えば目から太陽が、心臓から月が、口から軍神インドラや火の神アグニが生まれてくる。呼吸から風の神ヴァーユが生まれてくる。臍から空の世界、頭から天の世界、足から大地の世界、それから耳から四方八方の方位が生まれてくる。

 また人間の場合は、人間の階級・階層(「ヴァルナ」と呼ばれる)として、口からバラモン、腕からクシャトリヤ(釈迦はクシャトリヤの階級で、大名のような存在)、腿からヴァイシャ(平民、市民のような存在)、足からシュードラ(奴隷)。このような4つのヴァルナが、原人から生まれてくる。バラモンが一番高位にあるので、バラモンの体系が正当化されるような語りが、原人プルシャ神話として語られています。

 あるいは、水から卵が生まれ、その卵から創造神プラジャーパティが生まれ、そこから天、空、地の3つの世界ができてきた。このような神話が、断片的に『リグ・ヴェーダ』の中で述べられています。

 そして、そこには多神教的な世界が開陳されているので、たくさんの神々がいます。悪魔もいます。

 日本で知られているのは、その中のアシュラです。興福寺の有名な国宝・阿修羅像は、インドの神様です。その阿修羅像は悪神的な存在、悪鬼的な存在なのですが、いわゆる「絶対悪」というものはインドにはありません。日本もそうですが、「絶対的な悪」を設定せずに、相対的に「良い」「悪い」とする。だから、悪神も良いことをする。良い神も悪いことをする。ギリシアの神々の世界もそうですが、日本の神々もインドの神々も、そういった意味では非常に相対主義的で、ある面で悲観的なところもあるけれども楽観的なところもある、ということが神話...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
「ホメロス叙事詩」を読むために(4)『イリアス』の世界ーその2
『イリアス』の主人公アキレウスの怒りは何を意味するのか
納富信留
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(3)奇矯で壮絶な親娘の生活
引っ越し93回…自炊も片付けもせず、絵に人生を捧げた親娘
堀口茉純
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸