インド神話の基本を知る
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
インド人が最も愛読『マハーバーラタ』で説いた戦士の心得
インド神話の基本を知る(2)古典『マハーバーラタ』を学ぶ
鎌田東二(京都大学名誉教授)
『ヴェーダ』から派生した『マハーバーラタ』は、古代インドの叙事詩としてのあらすじを持っている。ガンジーが心の拠り所とした「バガヴァッド・ギーター」も、この『マハーバーラタ』の一部分である。今回は、インド人にもっとも愛唱されている『マハーバーラタ』の概説的なあらすじを解説し、日本の古典『平家物語』との類似性にも言及する。(全4話中2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15分27秒
収録日:2022年6月7日
追加日:2023年9月24日
≪全文≫

●『平家物語』同様、兄弟で系統が分かれた『マハーバーラタ』


―― 続きまして、インド神話の全体像、概説的なあらすじという話に入ります。インド神話にもいろいろな体系がありますから、どのように捉えるかというところになります。

鎌田 インド神話を体系的に表して言うことはできません。先ほど言ったように『ヴェーダ』は断片的なものですから、どのようなストーリーかということを、『古事記』のようにひとまとまりのものとして、1つのテキストで全体を結末まで述べるといった話ではないのです。

 けれども、「バガヴァッド・ギーター」を含んでいる『マハーバーラタ』は、全体が大きな『ギルガメッシュの物語』のような大叙事詩なので、叙事詩としてのあらすじを持っています。

 これはまさに、日本的にいえば源平の合戦、『平家物語』のようなものです。2つの王家が争います。1つはパーンダヴァ王家、もう1つがカウラヴァ王家です。パーンダヴァ王家には5人の王子がいて、カウラヴァ王家には100人の王子がいる。ですから、王位継承をめぐる国土の奪い合い、あるいは王位の奪い合いといったことが大きなテーマとしてある中で、愛憎を含めてさまざまな周辺的な物語が描かれるという一大叙事詩になります。

 その王家の始まりが、これまた複雑で面白い。ハースティナプラという国のシャーンタヌという王様が、ガンジス河の女神と結ばれます。女神と人間の男(国王)が婚姻するという形です。

―― シャーンタヌは神ではないのですね。

鎌田 シャーンタヌは人間の王様です。それがガンジス河の女神に恋をして、恋い焦がれて結婚する。女神に許されて婚姻を結ぶときには、「絶対に自分(女神)が行うことを止めてはいけない」といった約束事がある。次々と7人の子どもが生まれるのですが、それを次々とガンガー(女神)が殺していくのです。

 このまま行くと子どもがいなくなってしまうという不安に駆られた国王が、(次に生まれる)8番目の子どもをどうしても殺されたくないので隠す。このようなことから国王と女神が別れてしまうということになっていきます。

 そしてその後、その8番目のデーヴァヴラタという王子が王位を継承する。日本でいえば皇太子になるはずなのですが、非常に複雑な生まれや生い立ちを持っているので、彼は王位継承権を放棄して、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦