古事記・日本書紀と世界神話の類似
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開けてはならぬ玉手箱をなぜ渡したか?浦島伝説の不思議
古事記・日本書紀と世界神話の類似(8)浦島伝説と死生観の関係
鎌田東二(京都大学名誉教授)
日本に古くから伝わる浦島伝説。しかし、そこにはとても不思議な点がある。なぜ「開けるな」という玉手箱をわざわざ渡すのか。それは、不老不死や長寿といった人間の死生観と関係があるのではないだろうか。この伝説から発せられるメッセージなどを読み解きながら、その謎に迫る。(全10話中8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分21秒
収録日:2021年9月29日
追加日:2022年5月8日
≪全文≫

●世界各所に不老不死伝説がある


鎌田 それ(『日本書紀』の浦嶋子伝説)が次の段階になると、さらに詳しくなります。それが『丹後国風土記』ですが、そのものは残っておらず、「残欠」といって他の本の引用から一部分が分かっており、『丹後国風土記』逸文という形で残されています。その中にこう記録されています。

〈雄略天皇の時代、水江浦嶋子はとても美男子だった。小舟に乗って、釣りに出かけた。3日3晩、1匹の魚も釣れなかった。しかし5色のカメ(亀)を得た。そのカメがいつしか美しい女性となった。そして「私は天上の仙人の家の者(天女)である」と名乗った。

 浦嶋子はその女性に眠らされて、気がつくと海の中の島にいた。そして、すばるの星とされる7人の童子と、あめふり星とされる8人の童子、それから女性の父母らに館の中に迎えられ、歓待されて3年間、海中の仙人の都にとどまった。

 ところが、故郷のことを思い出して、「神仙之堺」から俗世に戻ってくる。このとき、妻となっていた女は浦嶋子に玉手箱を渡して、「絶対に開けないように」と忠告した。そして浦嶋子は帰っていった。ほぼ3年間、海の中で過ごして帰ったところ、自分の家はない。「ええっどうしたの?」とよくよく確かめてみると、どうも300年のときがたっていた。自分を知る者は誰もいない。

 浦嶋子は絶望し、心乱れてしまって、「開けないで」と言われていた玉手箱を開けてしまった。そうすると瞬く間に姿かたちが年寄りに変貌した。「開けてしまうと二度と会えなくなってしまうのですよ」と言われていた通り、永遠の別れになってしまった。〉

 このような話です。この話はどう考えても変ですよね。

―― 変ですね。

鎌田 いろいろな不思議さがあります。海の世界での3年が地上では300年になっているのはいったい何を意味するのか。あるいは不死や不老長寿といった人間の死生観、などです。仙人の世界のイメージ、あるいは神は不老不死であるといった神々の世界のイメージが、人類の中にはあります。私たちは現代の科学技術を駆使して、例えばクローンの創造ということで、今いろいろな動物などで作ったりしているでしょう。そういったことは、神話的な物語の中という別の語りのパターンで起こっているのです。

 その1つのイメージが不老不死です。不老不死を求める話は、ギルガメッシュの話の中にも、秦の始皇帝の話の...

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