神話の「世界観」~日本と世界
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
世界でも稀な日本の王権システムが1300年続いている理由
神話の「世界観」~日本と世界(8)現代にも生きている日本神話
鎌田東二(京都大学名誉教授)
日本神話は現代の私たちの生活の中に無意識に息づいている。それは「集合的無意識」ともいうべきもので、『古事記』や『日本書紀』の中にいろいろなレベルで物語として注ぎ込まれている。シリーズ最終話では、その代表例でもある天皇の即位における儀礼について解説する。(全8話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分11秒
収録日:2020年12月7日
追加日:2021年11月7日
≪全文≫

●歴史的に積み重なっている日本人のレジリエンス


―― 確かに今でも、例えば台風が来て、農作物に大変な被害が起きたり、地震や火山の噴火が起きたりすると、日本人の場合は「天災が起きたら仕方がない」ということで、そこから復興に歩み続けるというところがありますね。

鎌田 ある種、日本人の中にレジリエンスがある。あるときは悲嘆に暮れるのだけど、悲嘆に暮れきらないで、そこから復興再建に向かって歩みを続ける立ち直り力がある。それはやはり、何度も何度も自然の中で繰り返し体験してきて、ある種の免疫といいますか、忍耐力といいますか、そういったものが歴史的に積み重なっているということが大きいでしょうね。

―― 自然の大災害も仕方がない。それをどう乗り越えるかが、逆にわれわれの腕の見せどころ、生き方の試されるところだという覚悟ができているのでしょうか。

鎌田 感染症においても、私は基本的には同じだと思います。感染症に関して、『古事記』や『日本書紀』の中にはっきりと書かれているのは、崇神天皇(第10代天皇)の時代にあった流行病のことです。

 この時、たくさんの百姓(オオミタカラ)が死に、国が立ちゆかないほどに感染症がはやったのです。これは天然痘(疱瘡)なのか分かりませんが、とにかくたくさんの死がもたらされたので、天皇がこれを祈り、占いました。そうすると、オオモノヌシの祟りであることが突き止められたのです。そこで、オオモノヌシを祀るという祭を行いました。その祭をきちんと行うことができたら、オオモノヌシが鎮まって平和になり、感染症も治まりました。

 オオモノヌシというのは三輪山の神で、蛇の姿になって現れたりします。自然などに働きかけるような大地的な神です。感染症も含めて疫病は、大地の働きの中で何かが起こってくると捉えたのでしょう。そして、その神を祀って鎮めた場合に、それを善きものにしていくことができた。人々が幸せになった。そのため、災い転じて福となすという方向へ、崇神天皇が神々の祭祀を通して行っていったのです。

 そのときに合わせて、伊勢神宮の根本であるアマテラス祭祀を始めていきます。それまでは天皇とともに同殿共床、つまり同じパレスの中に祀っていました。それを三輪山の麓に離し、距離をおいて祀るようになったのです。最初は、三輪山の麓にあったアマテラスが、三輪の神のそばだからおそら...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子