ケルト神話の基本を知る
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「悲しみのディアドラ」と死後の世界ティル・ナ・ノーグ
ケルト神話の基本を知る(3)悲哀の物語と死後の世界
鎌田東二(京都大学名誉教授)
同じ島国で発達してきたケルト神話と日本神話。その地理的特徴から、物語の悲哀、悲劇、もの悲しさという共通点が表われてくる。それは、はるか海のかなたに存在する死後の世界にも通じるものがある。それぞれの神話では一体何を語られているのか。ケルト神話における死後の世界ティル・ナ・ノーグについて解説しながら、「もののあはれ」や『平家物語』の無常観を通して日本神話の共通点を見いだす。(全3話中3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分52秒
収録日:2022年4月12日
追加日:2023年8月6日
≪全文≫

●ケルト神話と日本神話の共通点(1)島国という地理的特徴


―― 地理的には北欧にも近いともいえますが、北欧神話と何か共通性があるのでしょうか。

鎌田 北欧神話との共通性は、神々の闘争といいますか、そこは非常に共通しています。ダイナミックに神々が相争い、戦いを繰り返す。その神々の戦いの物語という点では、いろいろな政権交代の話があるという点で共通しています。

 しかし、それは世界中にある神話の一つのパターンでもあるので、そういう意味で特性があるとまでいえるかどうかは別ですね。

 では、どこに特性があるかというと、私の観点では、「悲劇的な側面」といいますか「悲哀観」で、アイルランドにも日本にも結構共通する、神話の中の悲哀観というものがあると思います。

 ギリシア神話は、話自体がかなり明朗闊達な感じがあります。しんみりしたりエレジーのようになっていったりする要素は少なく、神々の活動は非常にドラマチックにドライに展開していく。

 けれど、前回お話しした浦島太郎につながる話は、うら悲しさ、もの悲しさを含み持っているわけです。そういった、うら悲しさ、もの悲しさが生まれてくる要素、条件は何かを考えていくと、これはやはり地理的特性が大きいのではないかと思います。

 このケルト神話群と日本神話群を比べると、やはり地域特性の共通性が見られると思いますが、日本とアイルランドの地域特性は、川上さんから見るとどういうところにあると思われますか。

―― やはり島国といいますか。大陸に対する島国というところにもなってくると思いますし、閉じられた世界の中で、先ほど先生がお話された、汎神論的とはいいませんが、いろいろな神様が存在しているという部分は残りやすかったのかなという気がします。

鎌田 先ほど悲哀観ということを言いましたが、ケルト神話と日本神話の大きな特徴は、やはり大陸ではないということですね、どう考えても。大陸ではないということは、海に面しているということになりますよね。本当に大陸のど真ん中、中原のような地域だと、海という発想はない。河は重要な要素としてあったとしても、海はないからです。

 でも、日本は四方が海に囲まれています。もちろんアイルランドも丸っこいから、四方八方が海です。海の彼方には、東のほうを見ればイギリス、ブリテン島があるけれど、西のほうを見れば、島はな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄