五賢帝時代~ローマ史講座Ⅷ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ハドリアヌスの疑惑の残る皇帝就任
五賢帝時代~ローマ史講座Ⅷ(4)ハドリアヌスの縮小政策
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
五賢帝時代も佳境を迎え、トラヤヌス時代にローマ帝国は最大版図を獲得する。だがそれもつかぬ間、次の皇帝ハドリアヌスは縮小に転じる。この展開はなぜ起きたのか、ハドリアヌス皇帝就任時の経緯も含め、東京大学名誉教授の本村凌二氏が論じる。(全9話中第4話)
時間:11分35秒
収録日:2018年2月8日
追加日:2018年5月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●ローマ帝国の版図はトラヤヌス時代に最大になった


 もう1つ、トラヤヌスが繰り返し戦争をしかける中、ローマにとって厄介だったのが、東部戦線のパルティアでした。パルティアはローマの支配が及ばない、イラン系の人々でした。

 トラヤヌスは軍人ですから、このローマにとって厄介なパルティアとの戦いをやらなければいけないというので、その準備をしていました。そして、ある時期から実際に軍事行動に起こします。今の地域でいうと、アルメニアやメソポタミアといった地域を征服することになるわけです。

 そのようにして、前回お伝えしたダキアと、アルメニア、メソポタミアといった地域を、ローマ帝国の中に編入したために、ローマ帝国の版図、その規模は最大になったといわれています。この話は、高校世界史レベルでもいわれていることですが、つまりローマ帝国の最大版図はトラヤヌスの時代でした。それぐらい巨大な帝国を、非常に優れた軍人であり優れた行政官であるトラヤヌスの時代に実現させることができたということです。

 このためトラヤヌスは、プリンケプス・オプティムス・マクシムスといいますが、いわば最善最高の君主として、後々も代表的な、あるいはローマきっての皇帝として尊敬されていくことになるのです。

 ローマはそれまで領土拡大をそれほど行わなかったにもかかわらず、トラヤヌスがダキアやパルティアとの戦争などで勝利を収めるということもあり領土を拡大し、最大規模の領土まで広げました。

 しかし、彼は高齢になっていたこともあり、パルティア遠征の途上で体調を崩して亡くなるということで、結局表舞台から消えてしまいます。


●疑惑の残るハドリアヌスの後継指名


 その後を継いだのがハドリアヌスですが、ハドリアヌスの皇帝就任に関しては、非常にあやふやなところがあります。トラヤヌスがはっきりと後継者を指名しないうちに皇帝になったからです。正式にハドリアヌスを指名していれば良かったのですが、トラヤヌスにとっては、体調を崩して死ぬのがあまりにも早かったためか、結局後継者を誰とも言いませんでした。トラヤヌスの妻であるプロティナによれば、トラヤヌスの後継者に関して耳元で遺言を聞いたところ「ハドリアヌスだ」ということで、結局その後、ハドリアヌスの時代が来ることになるのです。

 ということで、後継者としてハドリアヌスの指名...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
仏法僧の三宝――なぜ1人で仏教に向かってはいけないのか
中島隆博
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
歌舞伎はスゴイ(3)歌舞伎のサバイバル術(前編)
草創期からの度重なる「規制」と「スキャンダル」を超えて
堀口茉純
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
健診結果から考える健康管理・新5カ条(2)健診結果はダルマ落としでアプローチ
バラバラ事件!? 検査項目をバラバラに見てはいけない
野口緑
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一